欧州議会、米国製工業製品の関税引き下げに条件提示

(EU、米国)

ブリュッセル発

2026年04月03日

欧州議会は3月26日、米国との共同声明(2025年8月22日記事参照)の一環である、米国製工業製品に対する関税の撤廃および米国産農産品に対する特恵市場アクセスを認める2つの法案(2025年9月1日記事参照)の立場を採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EU理事会(閣僚理事会)は既に立場を採択しており、今後政治合意に向けた交渉が始まる。

欧州議会は、米国製工業製品に対する関税の撤廃に関する欧州委員会の提案に対し、一定の条件下で関税優遇措置の停止を可能とする停止条項の内容を強化した。具体的には、仮に米国が合意上限である15%を超える追加関税や新たな関税の導入を発動した場合、欧州委は優遇措置の全てまたは一部の停止を提案できるとした。このほか、加盟国の領土保全、経済安全保障、外交・防衛政策を脅かした場合なども停止条項発動条件とした。また、特定の製品グループにおける米国からの輸入量が10%増加した場合などに、関税優遇措置を一時的に停止することができるセーフガード措置も含めた。

また、本措置の発効は、米国が関税引き下げなどの合意を実施した場合に限るとする「サンライズ条項」を追加した。1つには、鉄鋼およびアルミニウムの含有比率が50%未満のEU製品について、米国が関税率を上限の15%まで引き下げることを条件とした。さらに、鉄鋼およびアルミニウムの含有比率が50%を超えるEU産品については、米国が関税率を上限の15%以下に引き下げない限り、本措置適用開始から6カ月後に、米国からの鉄鋼、アルミニウムおよびそれらの派生製品に対するEUの関税優遇措置は適用されなくなるとした。

このほか、規則の有効期限を2028年3月31日までとする「サンセット条項」も追加した。この期限は、規則の影響についての詳細な影響評価を実施した上で、新たな立法提案が提出されない限り延長されない。

欧州議会はこれまで、米国のドナルド・トランプ大統領によるデンマーク自治領グリーンランドの領有に向けた発言(2026年1月27日記事参照)や、国際緊急経済権限法(IEEPA)の停止と1974年通商法122条に基づく10%の課徴金賦課の発表(2026年3月2日記事参照)を受け、審議を延期してきた。今回の採択後の記者会見で担当議員は、通常の合意文書に見られる相互主義の原則を反映した修正条件について、大多数の支持を得て合意ができ、この立場に基づき交渉していく考えを示した。

なお、2025年のEUの対米貿易額は、輸出(前年比3.4%増)、輸入(4.8%増)ともに増加し、貿易黒字額も拡大している(3.6%増)(添付資料図、表1、表2参照)。

(薮中愛子)

(EU、米国)

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