欧州委、米国との共同声明の実施に向け、米国製工業製品に対する関税撤廃法案を発表
(EU、米国)
ブリュッセル発
2025年09月01日
欧州委員会は8月28日、米国製工業製品に対する関税を撤廃するとともに、米国産農水産品に対する特恵市場アクセスを認める法案を発表した(プレスリリース)。これは、米国との共同声明(2025年8月22日記事参照)の実施に向け、米国が相互関税の対象となるEU産品に対する関税を15%に引き下げたことを受けてのEU側の第1段階の措置だ。
欧州委は、今回の法案を共同声明の第1項においてEUが約束した内容に相当するとしている。これにより米国は、共同声明の第3項に基づき、EU製自動車・同部品に対する関税率を現行の27.5%から15%に引き下げることが求められる。欧州委は、米国による関税削減時期について、同項では「法案を提出した月の1日から」としていることから、法案の成立を待つことなく2025年8月1日から遡及(そきゅう)的に適用される見込みとしている。
今回の法案において、関税撤廃の対象となるのは米国製工業製品で、機械、自動車・同部品、木材・木材パルプ、紙・板紙、陶磁器、皮革製品など。特恵関税割当制度の対象となる米国産農水産品は、海産物、ナッツ、乳製品、生鮮・加工果物と野菜、加工食品、穀物、種子、大豆油用種子、豚肉、バイソン肉など。牛肉、鶏肉、コメ、エタノールなどのセンシティブ品目は対含まれない。詳細は法案の付属書を参照のこと。なお、法案は今後、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議される。
(吉沼啓介)
(EU、米国)
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