中国EU商会、第15次5カ年規画に対する立場を発表

(中国、EU)

調査部中国北アジア課

2026年03月26日

中国の第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議は3月12日、次の5年間(2026~2030年)の計画となる、第15次5カ年規画の綱要外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを審議・採択した。在中国の欧州企業の団体、中国EU商会は3月13日、第15次5カ年規画に対する立場外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

発表では、第15次5カ年規画において、対外開放の拡大と外資誘致、外資系企業への内国民待遇の実施を掲げていることについて歓迎するとした。また同規画において、「外商投資法(2019年10月15日付地域・分析レポート参照)に合致しない文書や規制を見直し、是正する」と新たに提唱されている点は、中国政府が外資系企業のために公平な競争環境を整備するために、さらなる努力が必要と認識していることを示す前向きな兆候との見方を示した。

また2026年政府活動報告(注1、2026年3月6日記事参照)を踏まえ、第15次5カ年規画には、2025年に中国EU商会会員企業の最大の懸念事項であった中国経済の減速に対処するための措置が示されていると評価した(注2)。特に「内巻式」競争の総合的な是正を指摘している点は注目に値するとして、今後5年間にわたり経済の根底にある構造的問題に対処する必要があるという認識を示唆しているとした。さらに消費の活性化、医療衛生水準および社会保障の改善が示されたことについて、これらの目標を実現できる効果的な措置が実施されれば、中国市場における現在の需給の不均衡を是正するのに役立つとの見方を示した。これは国内の圧力を緩和するだけでなく、中国の輸出への依存度を低下させ、EUなど主要貿易パートナーとのバランスの取れた発展の促進にもつながるとした。

また、グリーン・低炭素については、単位GDP当たり二酸化炭素排出量を17%削減することや、グリーン電力証書取引制度の整備、持続可能な燃料生産の拡大、リサイクル・循環システムの充実など、多くの環境開発目標が掲げられたことに触れた。特に、持続可能な燃料の拡大とリサイクルにおいて、EUと中国は国家および企業レベルで広範かつ深い協力を展開し、着実な発展を推進することが期待されるとした。

一方で、懸念点として、第15次5カ年規画では、前規画よりも「自立自強」への姿勢を一層強め、政策の重点を「中国製造2025」からより幅広い分野を網羅する「新質生産力」(注3)へと転換したことを挙げた。EU商会の会員企業は依然として中国市場への関与を継続しているが、過去10年間にわたり多くの企業が「中国製造2025」関連分野で市場シェア喪失や持続不可能な競争に起因する困難を経験したため(注4)、今後5年間において企業はより慎重になるとの見方を示した。その上で、第15次5カ年規画が掲げる、外資系企業に対して国内企業と同等の待遇を提供するという約束が、自立自強の目標によって損なわれないよう、引き続き中国当局に提言を行っていくとした。

(注1)中国EU商会は3月5日、中国の2026年政府活動報告に対する立場外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。

(注2)中国EU商会は2025年9月に中国政府に対するビジネス環境改善などの要望をまとめた提言書を発表し、構造的問題に対する改革措置の実施などを提言していた(2025年9月22日記事参照)。

(注3)イノベーション主導で、従来型の成長モデル・アプローチから脱却し、ハイテク、高効率、高品質を特徴とする先進的な生産力を指す。

(注4)中国EU商会は2025年4月、「中国製造2025」に関する報告書を発表しており、同報告書では中国がこれまで独自開発の技術を欠いていた分野で成長を遂げる中で、多くの欧州企業は徐々に中国市場へのアクセスを失い、さらには中国市場から撤退するといった状況に陥っていると指摘していた(2025年4月23日記事参照)。

(和田拓己)

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