WTO、2026年の中東の輸出量は0.6%増と予測、地域情勢が悪化すれば下振れも

(中東、アラブ首長国連邦、イスラエル、イラン、サウジアラビア、世界)

調査部中東アフリカ課

2026年03月31日

WTOは3月19日に発表した世界貿易見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、世界の財貿易量が2025年に前年比4.6%増のところ、2026年は1.9%増に減速すると予測した(2026年3月26日記事参照)。一方、中東情勢悪化によりエネルギー価格が高止まりする「高エネルギー価格シナリオ」では、2026年は1.4%増まで減速するとの見通しだ。

中東では、2025年の輸出量が前年比12.9%増のところ、ホルムズ海峡の実質的封鎖(2026年3月4日記事参照)もあり、2026年は0.6%増に鈍化。さらに高エネルギー価格シナリオでは0.1%減まで落ち込むとの予測だ。

2025年の国別輸出額ではアラブ首長国連邦(UAE)が7,070億ドルと世界7位(シェア3.3%)で中東最大だ(注)。

2025年の中東の輸出額上位国は次のとおり。

  • (参考)1位:中国(3兆7,720億ドル、前年比5%増)
  • (参考)5位:日本(7,38O億ドル、4%増)
  • 7位:UAE(7,070億ドル、17%増)
  • 21位:サウジアラビア(3,110億ドル、2%増)
  • 23位:トルコ(2,730億ドル、4%増)
  • 26位:イラン(1,130億ドル、1%増)
  • 28位:イラク(930億ドル、6%減)
  • 29位:カタール(890億ドル、7%減)

中東の輸入量は2025年に10.4%増のところ、2026年はベースラインシナリオで1.0%増と鈍化の予測、一方、高エネルギー価格シナリオでは2.0%増に上振れするとの予測だ。

なお、2025年のUAEの輸入額は6,190億ドルと世界10位(シェア2.8%)だ。

2025年の中東の輸入額上位国は次のとおり。

  • (参考)1位:米国(3兆5,070億ドル、前年比4%増)
  • (参考)6位:日本(7,56O億ドル、2%増)
  • 10位:UAE(6,190億ドル、14%増)
  • 16位:トルコ(3,650億ドル、6%増)
  • 22位:サウジアラビア(2,540億ドル、9%増)
  • 27位:エジプト(980億ドル、13%増)
  • 28位:イスラエル(950億ドル、4%増)
  • 30位:モロッコ(870億ドル、15%増)

中東情勢悪化がサービス貿易に影響

WTOはサービス貿易の見通しについて、中東では世界の輸送サービス輸出の7.4%を占め、欧州・アジア・アフリカを結ぶハブであるが、情勢悪化により多くの航空便が欠航となり、また、輸送費と保険料が増加していると指摘した。ホルムズ海峡を通過する商船も急減し、海運サービスにも影響がある。中東情勢悪化が長期化すれば世界のサービス貿易の伸びを押し下げるほか、燃料価格と輸送費の上昇、積み替えの減少、旅行と貿易の経路変化につながる可能性があるとした。中東の2026年のサービス貿易は、ベースラインシナリオで前年比6.5%増だが、情勢悪化が長期化すれば9.2%減まで落ち込むとの予測だ。

なお、中東地域の旅行・観光分野は1日当たり6億ドルの損失が発生しているという(2026年3月13日記事参照)。中東発着の航空貨物にも影響が出ている(2026年3月6日記事参照)。

中東情勢は特集「イスラエル・米国とイランの衝突に関する中東情勢」も参照。

(注)UAEなど一部の国では推計値、EU域内の貿易額を除いた順位。なお、同報告ではエジプト、モロッコはアフリカに分類される。

(井澤壌士)

(中東、アラブ首長国連邦、イスラエル、イラン、サウジアラビア、世界)

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