中東情勢の悪化に伴い、ホルムズ海峡の通航が停止状態

(世界、日本、中東、米国、イスラエル、イラン、アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビア)

調査部中東アフリカ課

2026年03月04日

イスラエルおよび米国は2月28日、イランに対する攻撃を実施(2026年3月2日記事参照)し、これに対しイランから中東諸国の米軍基地や港湾、民間施設などへの反撃があった。さらに、イラン・イスラム革命防衛隊がホルムズ海峡を通過する船舶を攻撃するとの警告を出しており、多くの海運会社はホルムズ海峡の航行を控えている(2026年3月2日記事参照)。

IMFの「PortWactch外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の3月3日更新のデータによると、2026年3月1日のホルムズ海峡の通航隻数は、2019年の統計公表以降で最低の26隻だった。なお、2019年から最新値(2026年3月1日)までの通航隻数(1日当たり)の平均が92.6隻、2025年の年間平均が95.7隻、2026年2月23日から3月1日までの1週間の平均は89.1隻だった。

また、3月2日以降はさらに通航が減少しているもようだ。各種報道によると、3月2日にホルムズ海峡を通過する船舶がイラン側から攻撃された。これを受けて、保険会社のホルムズ海峡を通る船舶への保険付保・保険料に影響するほか、海運大手各社がホルムズ海峡の通過を停止している。また、大手海運会社は新規の中東への運航の引き受けを停止するケースもある。このような中、米国のドナルド・トランプ大統領は3月3日(米国時間)、ホルムズ海峡を通る船舶を護衛する、と自身のSNSで投稿した。

ホルムズ海峡は、世界の石油や天然ガスの物流の要衝だ。原油の代替輸送はサウジアラビアで紅海沿いヤンブー港へのパイプライン、アラブ首長国連邦(UAE)でオマーン湾沿いのフジャイラ港へのパイプラインがあるが、輸送能力は限られる(2025年6月19日記事参照)。なお、フジャイラ港で被害があったとの報道もある。さらに、イラン側から、サウジアラビアの石油精製施設やカタールの世界最大の天然ガス施設への攻撃もあり、資源価格の上昇も見られる。

日本においても、2025年の原油の中東依存度は93.5%と高い。一方、国家備蓄と民間備蓄を合わせ計254日分の石油備蓄があるという。

2025年の日本から中東向け輸出は4兆6,360億円で、UAE、サウジアラビア、クウェート、カタールなどホルムズ海峡を通って輸送する国も多い。輸出品目は自動車がシェア52.8%の2兆4,483億円(約82万台)で、これは日本から世界への自動車輸出額(17兆6,123億円)の13.9%を占める。そのほか中東向け輸出品目をみると、鉄鋼(シェア4.4%)、原動機(3.3%)、自動車の部分品(3.2%)、ポンプ・遠心分離機(2.0%)、ゴム製品(1.8%)、建設用・鉱山用機器(1.5%)、織物用糸・繊維製品(1.2%)なども多い(2026年1月22日記事参照)。

現地情勢については、特集「イスラエル・米国とイランの衝突に関する中東情勢、各国の反応」、物流事情については、特集「中東・アフリカにおける物流とインフラプロジェクトの動向を探る」も参照。

(井澤壌士)

(世界、日本、中東、米国、イスラエル、イラン、アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビア)

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