中東情勢悪化で、中東地域の旅行・観光分野に1日当たり6億ドルの損失、WTTCが試算

(中東)

調査部中東アフリカ課

2026年03月13日

世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は3月11日、中東情勢の悪化により、同地域の旅行・観光分野ではすでに1日当たり6億ドルの損失が発生しているとの試算を発表した。WTTCは2月28日のイスラエル・米国とイランの軍事衝突(2026年3月2日記事参照)前の分析で、2026年の中東地域における外国人旅行者の消費額を2,070億ドルと予測していたものの、今回の情勢悪化により、観光業全体に深刻な経済的影響が生じる可能性が高いと指摘した。

WTTCによると、中東地域は世界全体の海外旅行者数の5%、国際線乗り継ぎ客の14%を占めるなど、世界の旅行市場において重要な役割を担っている。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイやアブダビ、カタールのドーハ、バーレーンといった域内の主要なハブ空港では通常合計で1日当たり約52万6,000人の旅客を処理している。一方、今回の軍事衝突の激化に伴い、空域の閉鎖や運航の混乱が発生し(2026年3月4日記事参照)、中東地域だけではなく、世界の航空ネットワークに大きな影響が生じているという。

一方、WTTCのグロリア・ゲバラ会長兼最高経営責任者(CEO)は、今回のような治安関連の事案の場合、政府と観光業界が連携して対応すれば、2カ月程で回復するケースも多いと述べた。

なお、2026年1月20日の国連世界観光機関(UNWTO)の発表によると、2025年の中東地域(注1)の観光分野の成長率は前年比3%だった。2025年の海外からの同地域への訪問者数は1億人を超え、2019年の新型コロナウイルス感染症流行前の水準を39%上回ったとしている。

また、中東地域(注2)からの訪日外客数は、2025年の年間で前年比54.7%増の25万7,200人〔2026年1月21日付日本政府観光局(JNTO)発表〕、2026年1月は前年同月比47.4%増の1万7,500人だった(2026年2月18日付JNTO発表)。

現地情勢については、特集「イスラエル・米国とイランの衝突に関する中東情勢、各国の反応」を参照。

(注1)バーレーン、エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、オマーン、パレスチナ、カタール、サウジアラビア、シリア、UAE、イエメン。

(注2)湾岸協力会議(GCC)加盟6カ国(サウジアラビア、UAE、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート)、イスラエル、トルコ。

(加藤皓人)

(中東)

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