中東情勢悪化に伴い、ホルムズ海峡の通過に影響

(中東、イラン、米国、イスラエル、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、サウジアラビア)

調査部中東アフリカ課

2026年03月02日

イスラエルおよび米国は2月28日、イランに対する攻撃を実施したと発表した(2026年3月2日記事参照)。これに対しイランからイスラエルや中東諸国の米軍基地などへの攻撃もあった。加えて、イランの保守強硬派メディアのタスニム通信は2月28日、イラン・イスラム革命防衛隊が、アラビア湾とペルシャ湾をつなぐホルムズ海峡において「いかなる船舶の通過も許されない」という通告を行っていると報じた。

米国海事機関は2月28日、ホルムズ海峡、ペルシャ湾、オマーン湾、アラビア海などの海域において、軍事活動が開始され、船舶は可能な限り当該区域を回避することが推奨されると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

また、英国海事機関(UKMTO)は3月1日、同海域における軍事行動に関して、航行における通信システム、AIS(自動航⾏情報システム)などへの妨害を含む、電子干渉の増大の可能性に留意する必要があると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

各種報道によると、多くの海運会社は3月2日時点で、ホルムズ海峡の航行を控えているという。

国際海事機関(IMO)事務局長のアルセニオ・ドミンゲス氏は3月1日、ホルムズ海峡での情勢の悪化に対して、「罪のない船員や民間船舶への攻撃は、決して正当化されるものではない」とした上で、航海の自由は国際海洋条約の基本原則であるとの声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ホルムズ海峡を通過する原油は世界の石油消費量の約2割に当たり、同海峡は資源物流の要衝だ。原油の代替輸送は、サウジアラビアでは紅海沿いのヤンブー港へのパイプライン、アラブ首長国連邦(UAE)ではオマーン湾沿いのフジャイラへのパイプラインなどがある一方、輸送能力は限られる(2025年6月19日記事参照)。

なお、アジアと欧州をつなぐ紅海においても2023年以降、イエメンのフーシ派が民間船舶の攻撃を繰り返してきた(地域・分析レポート特集「地政学的影響を踏まえた中東・アフリカの物流動向」参照)。フーシ派は親イラン組織でもあり、今回の中東情勢悪化に伴い、紅海情勢にも注目が集まる。

日本の中東の貿易をみると、主に自動車を輸出し、原油を輸入している(2026年2月26日記事参照)。日本と中東諸国との貿易では、ホルムズ海峡も通るUAE、サウジアラビア、クウェート、カタールなどが多い(2026年1月22日記事参照)。一方、資源エネルギー庁が2月16日に発表した「石油備蓄の現況外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2025年12月末時点で、国家備蓄や民間備蓄などあわせて合計254日分の石油備蓄があるという。

中東情勢悪化により、中東諸国の空路にも影響が出ている(2026年3月2日記事参照)。現地情報は外務省海外安全ホームページ「中東の海外安全情報一覧外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」や特集「イスラエル・イラン情勢に関する動向、各国の反応」も参照。

(井澤壌士)

(中東、イラン、米国、イスラエル、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、サウジアラビア)

ビジネス短信 6b03954374bb387d