主要生産国のカタールで液化天然ガス生産停止、ハマド国際空港は限定的に運航を再開
(中東、カタール、米国、イスラエル、イラン、世界、日本)
調査部中東アフリカ課
2026年03月10日
イスラエルおよび米国は2月28日、イランに対する攻撃を開始し、これに対しイランは中東諸国の米軍基地や空港、民間施設などへ反撃を行っている。中東情勢の悪化に伴い、石油や天然ガスの物流の要衝であるホルムズ海峡の通航が停止状態(2026年3月4日記事参照)となり、世界のエネルギー供給に関して注目が集まっている。また、カタールでは、天然ガス施設に被害が出ている。
カタールエナジーは3月2日、ラスラファン工業都市およびメサイード工業都市の天然ガス施設に対する軍事攻撃により、液化天然ガス(LNG)の生産停止を発表
、3月4日には影響を受ける天然ガスや関連製品の購入者に対して不可抗力事態を宣言したと発表
した。ホルムズ海峡の通航が再開しても、停止した施設の復旧までは輸出が難しい状況だ。
国際エネルギー機関(IEA)は1月23日時点の報告書で、カタールでは天然ガス生産が2025年に前年比4%増となり、2026年に2%増になると予測していた(2026年1月28日記事参照)が、生産減少の可能性がある。IEAによると、ホルムズ海峡を通るLNGはカタールとアラブ首長国連邦(UAE)とあわせて世界の約20%にのぼるという。
カタールのLNGの主要輸出先は、中国、インド、韓国、パキスタンなどアジア諸国だ。日本のカタールからの輸入シェアは5%程度だが、LNGの主要輸出国であるカタールの生産停止により、国際的な天然ガス供給に影響を及ぼす見込みだ。一方、日本からは2025年にカタール向けに自動車を1,660億円輸出していた(2026年2月3日記事参照)。
なお、カタールエナジーは3月3日、尿素、ポリマー、メタノールのほか、生産に電力を必要とするアルミニウムなどの製品の生産停止
を発表した。
カタール外務省は中東におけるイランの攻撃に対して非難声明を発表している(カタール外務省「メディアセンター
」参照)。カタールのハマド国際空港は一時閉鎖していたが、日本外務省によると3月10日時点でフライトは限定的に再開
をしている。中東各国の航空貨物輸送にも影響が出ている(2026年3月6日記事参照)。
現地情勢については、特集「イスラエル・米国とイランの衝突に関する中東情勢、各国の反応」、物流事情については、地域・分析レポート特集「中東・アフリカにおける物流とインフラプロジェクトの動向を探る」も参照。
(井澤壌士)
(中東、カタール、米国、イスラエル、イラン、世界、日本)
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