EU首脳が競争力強化を議論、規制簡素化や単一市場の深化、エネルギー価格が焦点に
(EU)
ブリュッセル発
2026年02月18日
欧州理事会(EU首脳会議)は2月12日、ベルギーのアルデン・ビーゼン城で域内産業の競争力強化に関する非公式会合を開催した(プレスリリース
)。3月の公式会合に向けた事前協議であり総括は採択されなかったが、アントニオ・コスタ常任議長は会合後、加盟国は競争力強化に向けた規制簡素化や単一市場の深化を支持したと述べた。ただし、貯蓄・投資同盟(2024年4月25日記事参照)など単一市場の深化の取り組みは、加盟国の総論賛成・各論反対により停滞している(2025年10月3日記事参照)。3月の会合では、加盟国が具体的な方針で合意できるかが焦点となる。
フォン・デア・ライエン委員長、改革加速を加盟国に要請
今回注目されたのは、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が、規制簡素化や単一市場の深化を求める産業界(2026年2月16日記事参照)に向けてアントワープ産業サミットで行った演説や会合後の発言だ。委員長は、2025年1年間でEU法の規制簡素化に向け10のオムニバス法案を提案したと成果を強調。一方で、欧州委の提案から2年半以上審議が続く加盟国法の調和に関するEU法案(2023年7月19日記事参照)を例にあげ、域内の障壁はEU法だけでなく加盟国法に基づくものも多いと指摘。EU法だけでなく加盟国法の簡素化の必要性も示唆した。
また委員長は、2027年末までに単一市場の統合を完了すべく、2026年3月の会合までに詳細な行程表を提示すると表明した。これには、27加盟国の会社法を補完するEU共通会社法「28番目の体制(28th regime)」も含まれる。貯蓄・投資同盟については、6月までに加盟国が第1弾を取りまとめることで一致したとし、それまでに全加盟国による合意が得られない場合、一部加盟国による先行実施の手続きに切り替える意向を示した。
このほか、産業界が要望するエネルギー価格の引き下げ(2026年2月12日記事参照)に関しては、電力価格の決定メカニズム(2023年12月18日記事参照)の見直しの可能性にも触れ、3月の会合でいくつかの選択肢を提示すると述べた。炭素価格が産業界の足かせになっているとして、一部の加盟国が負担軽減を求めるEU排出量取引制度(EU ETS)については、便益が大きいとして制度を擁護した。その上で、EUが受け取るEU ETSの収益は全て産業界のイノベーションに使われているのに対し、加盟国による同様の投資は加盟国が受け取る収益の5%に満たないと指摘した。加えて、エネルギー価格の引き下げには、炭素価格だけでなく加盟国が課す税金にも目を向けるべきとし、加盟国とともに税負担の引き下げに取り組むとした。
(吉沼啓介)
(EU)
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