EU首脳会議を前に、競争力強化に向けて産業界からの注文相次ぐ

(EU)

ブリュッセル発

2026年02月16日

2月12日の欧州理事会(EU首脳会議)の非公式会合を前に、欧州の複数の産業団体はEUへの提言を発表し、規制簡素化や単一市場の統合深化などの進展に期待している。

欧州中小企業連合会(SMEunited)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2月5日、中小企業優先(Think Small First)の政策決定や、新たな負担が生じないよう規制簡素化や単一市場の深化、中小企業の事業継続を守る適切な手段や支援メカニズムの整備を要請した。

欧州製薬団体連合会(EFPIA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2月9日、欧州は世界の研究開発投資シェアを約25年間で25%失い、米国や中国との格差が拡大していることを懸念し、創薬エコシステムの強化と薬価制度などの改革に関する10項目を提言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。医薬品関連規制や臨床試験制度の改革、資金調達の円滑化などによる研究開発の後押しや、加盟国ごとに異なる薬価制度を段階的に見直し、EUの透明性指令の順守などを要請した。

欧州繊維産業連盟(EURATEX)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは同9日、繊維産業の競争力強化に向け(1)事業コスト削減と循環型素材・リサイクル技術などへの投資促進支援、(2)自由貿易の促進と公平な競争環境の確保、単一市場の強化、(3)持続可能性関連法令の簡素化や域外生産者も含めた適正な執行を要請した。(3)については、明確なタイムラインや企業努力が反映される仕組み、現実的かつ中小企業にも配慮した法令とし、拡大生産者責任(EPR、2025年12月22日記事参照)やデジタル製品パスポート(DPP、注)、繊維から繊維へのリサイクル、化学品規制などの分野で企業ニーズを十分反映させる必要があるとした。

ヨーロピアン・アルミニウムPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は同9日、より積極的な通商防衛政策を採択し、域外国による不公正な貿易慣行への対抗、特にアルミ生産国との自由貿易協定(FTA)交渉においては、アルミ製品の自由化、原産地要件の緩和、環境規制からの免除を認めないことなどを提言。また、迂回輸出を防ぐべく、欧州委員会の炭素国境調整メカニズム(CBAM、2025年12月19日記事参照)改定案よりさらに対象製品を増やすべきと主張した。

欧州自動車工業会(ACEA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2月10日、EU首脳への書簡(2月9日付)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表し、FTA締結推進を通じた供給網の強靭(きょうじん)化、現実的な脱炭素化政策と域内生産維持への支援を要請した。域内生産の維持には、迅速な許認可やエネルギーコスト引き下げなどに加え、漸進的に規制を設けるのではなく、車両の開発サイクルに即し、まとめて要件を設定することや、低排出車への買い替え促進インセンティブの導入なども必要と述べた。

情報通信技術(ICT)関連産業団体のデジタルヨーロッパ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2月11日、革新的な企業のスケールアップや、税制優遇措置や研究開発に特化した財政支援のほか、大規模事業を生み出すEUレベルの共同調達や資本市場の統合推進(2025年3月28日記事参照)を提言した。

欧州化学工業連盟(Cefic)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは同11日、EUと産業界・労働者の代表がベルギーのアントワープに集まり、EUへの提言「アントワープ宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が採択されたと発表。競争力回復と雇用維持に迅速かつ大胆に取り組み、クリーン産業ディール(2025年12月8日付地域・分析レポート参照)を実行するよう要請した。

(注)ジェトロ調査レポート「EU循環型経済関連法の最新概要」(2024年11月)を参照。

(滝澤祥子)

(EU)

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