欧州産業界がEUに政策提言、依然として高いエネルギー価格に強い懸念
(EU)
ブリュッセル発
2026年02月12日
欧州理事会(EU首脳会議)は2月12日に、競争力強化について話し合う非公式会合を開催する。同会議を前に、欧州化学工業連盟(Cefic)などエネルギー集約型産業の12団体は2月2日付の共同声明
でEUに対し、エネルギー価格や炭素コストの引き下げ、公正な競争環境の確保やEU域内産の製品への需要喚起に迅速に取り組むことを要請した。
特に、高いエネルギー価格を優先課題の1つに挙げ、価格引き下げには即効性のある具体策だけでなく、EUの製造業の国際競争力の回復に資する明確、かつ長期的なロードマップも必要と主張した。EUのエネルギー価格(卸売市場価格を含む)は現在もエネルギー危機前の2倍の水準にある。現在の世界市場の条件下で、採算が取れる電化の推進と電化した設備の維持のため、業務用電力価格を1メガワット時(MWh)当たり50ユーロ近辺まで引き下げるあらゆる手段を動員すべきと提言した。同時に、クリーン産業ディール国家補助枠組み(CISAF、2025年8月8日記事参照)を強化し、エネルギー集約型産業が条件なしに効果的な支援を受けられるようにするべきと述べた。
ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は2月6日、競争力強化や規制簡素化について迅速な具体策を要請するEUへの緊急提言書
を発表した(プレスリリース
)。(1)単一市場の統合深化と規制簡素化、(2)エネルギー価格引き下げと脱炭素の事業事例の創出、(3)地政学的リスクの低減と市場アクセスの多角化・確保、(4)技術主権を取り戻すための投資とイノベーションの活性化、(5)雇用とスキルの強化について現況を分析し、2026年に実行すべき取り組みを挙げた。
このうち、(2)競合国より高いエネルギー価格の引き下げは重要課題と指摘し、クリーン産業ディール(2025年12月8日付地域・分析レポート参照)や欧州送電網パッケージ(2025年12月19日記事参照)などを評価しつつも、価格引き下げやEU域外企業との競争力格差の解消に資する効果的な短期措置が導入されていないとした。また、先導市場の構築や域内のエネルギー市場統合の遅滞を課題に挙げ、技術によって異なる国家補助の要件など、EUの気候・エネルギー政策は真に技術中立ではないと主張した。そのうえで、価格低下に向け、次の施策を提言した。
- 域内市場における公平な競争条件を維持しつつ、短期的な価格引き下げ策を実施
- 電力購入契約(PPA)などを用い、長期契約枠組みを改良
- エネルギー関連税や送電網への接続料金などの引き下げ
- 域内のエネルギーコスト格差の解消に向け、相互接続網の整備と各国の責任を両立し、エネルギー市場の統合を推進
(滝澤祥子)
(EU)
ビジネス短信 1fbda26cb0311582




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