重慶市・四川省・湖北省の企業などが水素産業連携を強化

(中国)

成都発

2026年02月17日

中国の重慶市では、1月22日に「重慶市水素産業エコシステム連盟設立大会」および「成渝水素回廊建設推進会議」が開催された。同大会および同会議の開催にあたり、「重慶市水素産業エコシステム連盟」の始動が発表された。同連盟は重慶市を中心として、同市内外の企業や研究機関が共同で水素の製造・貯蔵・運送・活用までを支える産業エコシステムを構築するための協力プラットフォームだ。

また、重慶市物流集団、重慶高速集団、重慶化医集団の3社合弁により「成渝(成都、重慶)水素回廊」(注1)沿線における物流を担う新会社「重慶水素エネルギー発展」を設立するほか、水素燃料電池車産業の発展トレンドを研究する機関として「重慶自動車産業イノベーション発展研究院」の設立についても発表された。これにより、中国国務院が打ち出した「2030年までのカーボンピークアウトに向けた行動方案(注2)」を推進するとともに、成渝経済圏(注3)の構築に向けた具体的な取り組みをいっそう強化していく姿勢を示した。

同大会では、重慶市・四川省・湖北省の各省・直轄市における国有企業が「渝川鄂三地(注4)高速道路水素回廊共同建設戦略協力協議」を結んだ。四川省から湖北省に至る高速道路沿線において、水素ステーションの建設・運営を共同で進めることなどが盛り込まれ、長距離幹線輸送分野での水素エネルギーの利用拡大を目指している。

また、水素の製造・貯蔵・輸送・充填(じゅうてん)・利用の全プロセスの発展を支えるため、37件のプロジェクトおよび応用シーンが選定された。これらのプロジェクトおよび応用シーンの総投資額は83億元(約1,826億円、1元=約22円)に上り、重慶市傘下の国有企業が主導または参画するものが大方となっている。

重慶市では既に水素エネルギー産業の集積が加速しており、産業チェーン全体の発展を推進している。同市九龍坡区に建設された、石油大手の中国石油化工(シノペック)の水素ステーション「半山環道総合エネルギーステーション」が、2025年11月に国家の実用新案特許を取得し、稼働した(2025年12月15日記事参照)。

また、重慶化医控股集団は関連企業と連携し、同市の潼南区と長寿区にそれぞれ年間生産能力約2,700トンの高純度水素精製装置を建設する計画で、総投資額は7,500万元に上る。これにより、水素の高度利用を進めるとともに、製造と供給体制の強化を図るとしている。また、同大会に参加した四川蜀道装備科技は2025年4月、親会社である蜀道投資集団と、トヨタ汽車(中国)投資との間で合弁会社設立に関する協定を締結した。3社は四川省成都市において、水素燃料電池の研究開発・生産・販売拠点を新設し、共同で水素燃料電池商用車の実用化に取り組んでいくとしている(2025年4月28日記事参照)。

(注1)四川省や重慶市で、高速道路を活用した水素エネルギーの迅速な輸送や水素燃料活用の輸送促進を目指す構想(2021年12月20日記事参照)。

(注2)2030年のカーボンピークアウト実現に向け、排出削減目標や非化石エネルギー拡大など10項目の具体的施策と数値目標を示した中国政府(国務院)による行動計画(2021年11月1日記事参照)。

(注3)2021年10月に中国共産党中央委員会と国務院が、新たな経済圏構想として成渝経済圏の建設規画綱要を発表。同経済圏は、重慶市の27区(県)と一部地域、四川省の省都である成都市、自貢市など15市から構成される。

(注4)中国の重慶市(渝)、四川省(川)、湖北省(鄂)の3つの省・直轄市を指す。

(王植一)

(中国)

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