重慶市、地下貯蔵技術を活用した水素ステーションが順調に稼働
(中国)
成都発
2025年12月15日
中国の重慶日報(11月26日付)によると、重慶市九龍坡区に建設された石油大手の中国石油化工(シノペック)の水素ステーション「半山環道総合エネルギーステーション」が、国家の実用新案特許を取得した。同水素ステーションは世界初の45メガパスカル(MPa)の高圧地下水素貯蔵技術を活用し、1日当たりの水素エネルギー充填(じゅうてん)能力は1トンで、水素燃料電池車(FCV)の約100台分に相当する水素を供給可能だという。地下150メートルにある垂直埋設型貯蔵設備が採用され、重慶市における土地の有効活用を図っている。また、シノペック傘下の化学繊維メーカーの重慶川維化工(本社:重慶市長寿区)が高純度の工業副生水素を供給している。
現在、重慶市では九龍坡区を中心に同市の水素エネルギー産業の集積が加速し、産業チェーン全体の発展を促進している。重慶市政府は2023年12月に記者会見を開き、2023年から2035年までの期間を3段階に分け、「西部水素バレー」を建設する計画を発表した。第1段階(2023~2027年)では、水素エネルギー産業の優位性を生かして、成都・重慶地域でFCVの商業化を実現する。第2段階(2027~2030年)では、水素エネルギー産業の発展を加速させ、中国国内で影響力を有する水素エネルギー燃料実証応用区を建設する。最終段階(2030~2035年)では、九龍坡区を成都・重慶地域ひいては中国全土における水素エネルギーの多元的実証応用拠点として発展させ、水素エネルギー産業の生産総額を1,000億元(約2兆2,000億円、1元=約22円)以上に引き上げることを目指している(2024年1月4日記事参照)。
九龍坡区では水素関連産業の集積が進んでおり、ジェトロは2025年10月に同区に所在する水素関連企業を訪問した。そのうち、慶鈴汽車(注)は、2023年に同区でドイツの自動車部品大手ボッシュとの合弁による水素燃料電池の生産拠点の建設を完了。共同開発した水素燃料電池を搭載した重型トラックを生産している。
ボッシュと共同開発の水素燃料重型トラック(49T)(ジェトロ撮影)
(注)いすゞ自動車と重慶市政府傘下の重慶汽車との合弁企業。
(王植一)
(中国)
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