四川省と重慶市、連携して水素産業の発展目指す

(中国)

成都発

2021年12月20日

中国の四川省と重慶市政府は11月30日、四川省成都市と内江市、重慶市の九龍坡区で、「成渝水素回廊」構想開始と水素燃料トラック使用開始の式典を開催した。

「成渝水素回廊」は、四川省や重慶市で高速道路を活用した水素エネルギーの迅速な輸送や水素燃料活用の輸送促進を目指す構想だ。

まず輸送面では、四川省の資陽市、内江市、自貢市、瀘州市、重慶市の栄昌区、潼南区、九竜坡区、両江新区などの地域を結ぶ都市間高速道路2路線と、成都と重慶を結ぶ成安渝高速道路を活用し、迅速な水素エネルギーの輸送を目指す。

水素燃料を活用した輸送促進に向けては、水素ステーションの建設や、2025年までの1,000台の水素燃料トラック導入を目標に掲げている。さらに、四川省の涼山イ族自治州、攀枝花市、雅安市、重慶市の潼南区、長寿区などの地域に、水素燃料供給基地を設置する(「瀟湘晨報」11月30日)。

四川省経済・情報化庁の伍定副庁長は式典で「(「成渝水素回廊」の建設は)成渝経済圏(成都市と重慶市を中心とする経済圏)構築に向けた重大な戦略であり、カーボンピークアウト、カーボンニュートラル実現に向けた重要な一歩」と述べた。

政策的効果もあり、水素エネルギー産業の集積進む

四川省と重慶市政府は水素産業の育成に向けた取り組みを積極的に進めている。重慶市では、西部(重慶)科学城に総額200億元(約3,600億円、1元=約18円)を投じ、3平方キロの面積の「西部水素バレー」を建設し、国家級水素燃料電池商用車の生産基地、水素電池研究開発センターなどを整備する予定(「人民資訊」8月25日)。

中国共産党四川省委員会は12月8日、「四川省カーボンピークアウト、カーボンニュートラル実現に向けたグリーン産業の発展促進に関する決定」を発表した。同決定では、四川省内の水素エネルギー産業の積極的な発展を打ち出しており、成都市を「グリーン水素都市」、基幹産業がチタンや鉄鋼などの重工業都市である攀枝花市を工業副産物として生成される水素の活用促進を通じた「水素エネルギー産業モデル都市」として発展させることを目指している。

四川省経済・情報化庁によると、政策的効果もあり、四川省と重慶市では水素エネルギー分野の産業集積が進んでいる。両地域には既に200を超える水素関連企業・研究機関が立地。さらに、440台の水素燃料電池自動車が実際に使用され、15カ所の水素ステーションが建設されている。

(王植一)

(中国)

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