欧州産業界、メルコスールとの協定署名を歓迎も、発効の遅れに危機感

(EU、メルコスール、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)

ブリュッセル発

2026年01月27日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)など、欧州の28の産業団体は1月17日、共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、EUとメルコスールがパートナーシップ協定(EMPA)および暫定貿易協定(iTA)に署名したこと(2026年1月21日記事参照)を歓迎した。EUは引き続き市場を開放し、ルールに基づく世界貿易に尽力することを強く、タイムリーに示すものと評価した。EU企業にとって、約2億7,000万人の消費者を抱える市場が開かれ、9割以上の輸出品目の関税が撤廃されることから、輸出、投資や成長の推進力となり、原材料などの供給網の多角化にも資すると、欧州議会に対し早期批准を要請した。

一方、同協定に根強く反対してきた欧州最大の農業協同組合・農業生産者団体COPA-COGECAは20日付の声明で、EU域内生産者が高い基準と生産コストの上昇に苦しむ中、EU基準を満たさない農産物の流入を許す通商政策を継続してはならないと訴えた。また、EUの2028~2034年の次期中期予算計画(MFF)案における共通農業政策(CAP)の見直し(2025年7月22日記事参照)などEUの農業政策への不信感を示し、肥料は輸入に大きく依存しており、炭素国境調整メカニズム(CBAM、2025年12月19日記事参照)の本格適用開始により、価格がさらに高騰する可能性を指摘した。同声明によると、EU加盟15カ国の6,000人の生産者は同日、欧州議会があるフランスのストラスブールで抗議活動を行い、複数の会派の欧州議員が生産者に同調し参加した。

翌21日も抗議活動が続く中、欧州議会は同日、EU司法裁判所(CJEU)にEMPAおよびiTAの合法性の判断を求める動議を可決した(2026年1月27日記事参照)。ビジネスヨーロッパは同日、動議が可決されたことについて、EUは厳しい地政学的変化の下にあり、早急に貿易の多角化をする必要があるにもかかわらず、集団で責任を放棄するようなもので理解しがたいとした(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。メルコスールとの協定締結が遅れていることで、EUは2021~2025年の5年間、約1,830億ユーロの輸出、約2,910億ユーロの国内総生産(GDP)を損失したとの調査結果を引用し、さらなる協定発効の遅れに強い危機感を示し、関係者に早期批准に向け、迅速かつあらゆる対応を促した。

(滝澤祥子)

(EU、メルコスール、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)

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