欧州議会、EUメルコスールFTAのEU司法裁判所への付託を決議

(EU、メルコスール、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)

ブリュッセル発

2026年01月27日

欧州議会は1月21日、EU司法裁判所(CJEU)に対し、メルコスールとのパートナーシップ協定(EMPA)とそのうち通商部分を分離した暫定貿易協定(iTA)のEU条約との適合性の審査を求める決議を僅差で採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。決議への賛成は334票と反対票を10票上回り、事前の予想を覆す結果となった。欧州議会は、CJEUの判断が出るまで、両協定への「同意」の採決を延期するとしており、現地報道によるとCJEUの審査には1年半から2年かかるとみられる。iTAについては特に早期の適用が期待されており、欧州委員会が欧州議会の同意のないまま暫定適用に踏み切るのか、今後の動きが注目される。

欧州委は、iTAの正式な発効には欧州議会の同意が必要であるものの、暫定適用については同意なしでも可能としている。一方で、政治専門紙「ポリティコ」(1月21日)は、欧州委と欧州議会が2025年9月に妥結した両機関の協力の在り方に関する枠組み合意には、原則として暫定適用に先立ち欧州議会の同意を得るとする規定が含まれているほか、これまでの慣習では暫定適用の前に欧州議会の同意を得ているとの専門家の見解を紹介した。欧州委が、欧州議会の決議を無視し暫定適用を強行すれば、欧州議会の反発を招きかねず、正式な発効に必要な同意の採択に支障をきたしかねない。

欧州委は、EU条約との整合性については、欧州議会と詳細に確認しており、過去のチリとの協定でも既に対処済みであることから、決議には妥当性がないとし遺憾の意を表明した。欧州委は今後の具体的な方針を明確にしていないものの、EU専門誌「ユーラクティブ」(1月23日)は、メルコスール側の批准が完了し次第、EU側も暫定適用に向け前進させる用意があるとするウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長の発言を報じた。

EUメルコスールFTAを巡っては、25年にわたる長い交渉を経て署名したばかりだ(2026年1月21日記事参照)。EMPAの批准手続きには全EU加盟国による批准が必要であり発効までに時間を要することから、欧州委はEU理事会(閣僚理事会)の特定多数決による承認と欧州議会の同意のみで批准可能なiTAの早期の適用を目指している。

(吉沼啓介)

(EU、メルコスール、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)

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