米・サウジ首脳会談、対米投資額を1兆ドルに拡大、米国製AI半導体の輸出許可なども発表

(米国、サウジアラビア)

ニューヨーク発

2025年11月25日

米国政府は11月18日、同国のドナルド・トランプ大統領とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が首都ワシントンで会談し、通商、技術、防衛分野などにおける2国間の協力拡大に関して合意に達したと発表した。

ホワイトハウスが同日に発表したファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、サウジアラビアは対米投資の目標金額を2025年5月の約6,000億ドル(2025年5月16日記事参照)から、約1兆ドルに拡大する。さらに、両国は、非関税障壁の削減や投資環境の改善などに向けて協力を強化することで一致した。非関税障壁の撤廃に関連して、米国通商代表部(USTR)は11月19日に、サウジアラビアが米国の自動車安全基準を自国の基準を満たすものと保証する書簡を取り交わしたと発表した(USTR発表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

また、両国は民生用原子力、重要鉱物、人工知能(AI)分野でそれぞれ共同宣言や協力覚書に署名した。このうち、AI分野に関しては、米国はサウジアラビアに対しAI技術を供給する一方、サウジアラビアは米国の技術を外国の影響から保護することなどを保証する覚書(MOU)に署名した。また、米国商務省は11月19日に、AI技術企業のサウジアラビアのヒューメインおよびアラブ首長国連邦(UAE)のG42に対し、米国半導体大手企業のエヌビディアのAI半導体の輸出許可(ライセンス)を発行したと明らかにした(商務省発表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。さらに、米国国務省は19日に、サウジアラビアとの戦略的AIパートナーシップ調印に関する共同声明を発表している(国務省発表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

安全保障分野では、両国は米国の防衛関連企業のサウジアラビア事業展開や、サウジアラビアの米国軍事費負担に関する「戦略的防衛協定(SDA)」に署名した。さらに、両国はサウジアラビアによる米国製の戦闘機や戦車の将来の調達についても合意した。

このほか、米国財務省は11月18日に、金融・経済や資本市場、重要鉱物など天然資源、税務情報に関するサウジアラビアとの合意の締結を発表している(財務省発表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。さらに、商務省国際貿易局(ITA)は19日、首都ワシントンで開催された「米国・サウジアラビア投資フォーラム」において、AI、航空宇宙、エネルギー、インフラ、ヘルスケア分野で総額200億ドル規模の2国間の商業契約の成立を発表している(ITA発表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(葛西泰介)

(米国、サウジアラビア)

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