世界経済は底堅く推移、AI投資が成長を下支えも不確実性は継続、IMF世界経済見通し

(世界)

調査部国際経済課

2026年01月21日

IMFは1月19日、最新の「世界経済見通し」(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。世界経済の成長率(実質GDP伸び率)について、2026年を3.3%、2027年を3.2%と予測した(添付資料表参照)。前回見通し(2025年10月22日記事参照)と比較して、2026年は0.2ポイントの上方修正、2027年は据え置きとなった。また、2026年の世界全体のインフレ率についてIMFは3.8%とし、低下基調が続く一方、米国ではインフレが目標水準に回帰するまで他の主要国より時間を要するとしている。

IMFは、通商政策の変化、貿易摩擦の再燃、地政学的緊張の高まり、ならびに高水準の財政赤字や公的債務が、世界経済の成長を下押しする圧力として作用しており、見通しに対するリスクは引き続き下振れ方向に傾いていると指摘する。また、人工知能(AI)を巡る生産性向上への期待が見直されれば、AI関連投資が減少し、金融市場で急激な調整が生じる可能性がある。その影響はAI関連企業から他分野へと波及し、家計の資産を目減りさせる恐れもあることをIMFは示唆した。

こうした下押し圧力や不確実性が存在する一方で、北米およびアジアを中心に、AIを含む技術分野への投資拡大は続いており、アジア諸国からの半導体や関連設備の輸出増加を通じて経済活動を下支えしている。IMFは、この技術関連投資の拡大が、他の分野で成長が鈍化する中でも世界経済の底堅い推移を支える要因の1つとなっているとした。また、財政・金融支援、緩和的な金融環境や民間部門の適応力も、成長後押しの要因として挙げた。

主要国・地域別にみると、2026年の米国の成長率は2.4%と、前回予測よりも0.3ポイント上方修正された。2025年第3四半期のGDPが想定を上回ったこと、連邦政府閉鎖終了後の2026年第1四半期にかけた経済活動の回復、およびそれらの影響の持ち越し効果を反映した。ユーロ圏は2026年の成長率を1.3%とし、前回見通しから0.1ポイント上方修正した。成長が低水準にとどまる背景としてIMFは、構造的な成長制約が引き続き存在することを挙げた。計画されている防衛支出の増加については、NATOが2035年までに(2025年7月3日記事参照)段階的に目標水準へ到達する方針であることから、影響が表れるのは2028年以降の見込みとした。中国の2026年の成長率は4.5%と見込まれ、前回見通しから0.3ポイント上方修正された。これは、景気刺激策や政策金融機関による投資向け融資拡大(2025年5月9日記事参照)に加え、2025年10月の米中間の合意(2025年10月31日記事参照)により、米国の対中関税率が低下することを前提としている。インドの成長率は2026年に6.4%と堅調に推移すると予測した。

(峯裕一朗)

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