スイス中銀、政策金利を2会合連続で0%に据え置き

(スイス)

ジュネーブ発

2025年12月15日

スイス中央銀行(SNB)は12月11日、政策金利を0%に据え置くと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2025年6月の会合で政策金利を0%に引き下げて以降、2会合連続で政策金利を据え置いた(2025年6月20記事2025年9月26日記事参照)。9年ぶりに利下げした2024年3月の会合以降、6会合連続で利下げを進めてきたが、前々回の会合で政策金利が0%に達しており、マイナス金利への引き下げは今回も見送られた。

ここ数カ月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)は予想よりやや低いが、中期的な見通しは前回の金融政策評価とほぼ変わっておらず、現状を維持することを決定したとしている。また、必要に応じて外国為替市場での積極的な行動を継続するとしており、為替介入の可能性についても示唆している。

インフレ率は8月の0.2%から11月の0.0%へと、前回の金融政策評価以降、わずかに低下している。SNBは、ホテルや家賃、衣料品の低インフレ率が特にこの減少に寄与したと説明している。短期的には、9月時点よりもインフレ率予測が低くなっているが、中期的にはほとんど変化がないとしている。具体的には、2025年の平均インフレ率が0.2%、2026年は0.3%、2027年は0.6%と予測しており、この予測は、SNBの政策金利が予測期間中、0%に維持されることを前提としている。

スイスの経済成長率は、2025年第3四半期にマイナス成長へ後退した(2025年12月3日記事参照)。この縮小は特に製薬産業によるもので、同産業の付加価値は、米国の追加関税導入の可能性を見越して出荷を前倒ししたことから、第1四半期には力強く上昇した。しかし、第2四半期にはその反動が見られ、第3四半期も反動が続いた。その他の製造業やサービス業では付加価値がわずかに増加したが、全体的な経済発展の低迷により、ここ数カ月で失業率がさらに上昇している。

スイスの経済見通しは、米国の関税引き下げ(2025年12月12日記事参照)と世界経済の幾分の好転により、わずかに改善した。2025年通年では、GDP成長率は1.5%弱、2026年には約1%の成長率を見込んでいる。こうした状況下では、失業率は引き続きやや上昇する可能性があるとしている。なお、スイスの経済見通しに対する主なリスクは、世界経済の動向だと分析している。

(田中晋)

(スイス)

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