スイス中銀、政策金利を0%に引き下げ、インフレ圧力低下に対処

(スイス)

ジュネーブ発

2025年06月20日

スイス中央銀行(SNB)は6月19日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、0%にすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、翌20日から適用した。利下げは、9年ぶりに利下げした2024年3月の会合、さらに、同年6月の会合(2024年6月24日記事参照)、9月の会合(2024年9月27日記事参照)、12月の会合(2024年12月13日記事参照)、2025年3月の会合(2025年3月21日記事参照)に続いて、6会合連続となった。

SNBは、今回の金利引き下げにより、前四半期に比べて低下しているインフレ圧力に対処するとしている。SNBはこの1年半にわたり、金融政策を大幅に緩和し、消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)の低下を早期に打ち消してきており、3月の利下げでは下振れリスクの高まりを考慮したが、その後、この下振れリスクが顕在化していると説明している。SNBは状況を引き続き注意深く監視し、インフレ率が中期的に物価安定と整合的な範囲内にとどまるよう、必要に応じて金融施策を調整する意向を示している。

2025年3月の金融政策評価以降、インフレ率はさらに低下しており、同年2月の0.3%から、5月にはマイナス0.1%に減少した。この下落は主に観光業や石油製品の価格変動によると分析している。インフレ率がマイナスに転じたのは2021年3月以来初めてだ。2022年8月には3.5%のインフレ率に直面し、翌9月の金融政策評価でマイナス金利を打ち切った経緯がある。SNBの新たな条件付きインフレ予測は、SNBの政策金利が予測期間中を通じて0%との仮定の下、2025年を0.2%、2026年を0.5%、2027年を0.7%としている。2025年3月の予測から2025年は0.2ポイント、2026年は0.3ポイント、2027年は0.1ポイント下方修正した。

スイス経済の見通しについては、2025年第1四半期(1~3月)のGDP成長率は力強いものだったが、この成長は他の国と同様に、米国への輸出が前倒しされたという事実によるところが大きいと分析している。そのため、こうした影響を調整すると、成長の勢いはより緩やかだったと説明している。2025年全体のGDP成長率を1~1.5%、2026年についても1~1.5%と予測している。スイス経済の見通しは依然として不透明で、国際情勢が引き続き主要なリスクだと分析している。

(田中晋)

(スイス)

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