スリランカ政府、サイクロン被害後も中長期的に経済成長7%の目標を堅持
(スリランカ)
コロンボ発
2025年12月19日
スリランカのセイロン商工会議所(Ceylon Chamber of Commerce)は12月2~3日、「スリランカ経済サミット」を開催した。スリランカでは、サイクロン「ディトワ(Ditwah)」が2025年11月末に上陸し、甚大な被害を及ぼした(2025年12月1日記事、2025年12月8日記事参照)。本イベントでは、ディトワ後の経済再建や成長を念頭に置いて、政治家や経営者など有識者が議論した。
初日に登壇したハリニ・アマラスーリヤ首相は、サイクロンの影響を受けた後でも中長期的には、2026年度予算で掲げたGDP成長率7%の目標(2025年11月11日記事参照)を目指すという政府の方針をあらためて強調した。アマラスーリヤ首相は、国際社会による緊急援助や復興に対する支援に対して感謝を述べるとともに、輸出先の多様化やデジタル化の推進、債務持続性の確保、国内生産の拡大や貧困軽減などを通じ、持続可能な成長を図っていく考えを示した。
さらに、基調講演に登壇した世界銀行のスリランカおよびモルディブのカントリーマネージャー、ゲボルグ・サルキシャン氏は「スリランカの7%の経済成長は十分に達成可能だ」と述べた上で、スリランカの競争力強化に向けて、関税削減や準関税(para-tariff、注)の段階的廃止といった改革を通じた、貿易の拡大や生産性向上、投資家の信頼強化を促した。
また、スリランカの成長機会に関するセッションに登壇したパネリストらは、スリランカの成長が期待される分野として、物流やITサービス、再生可能エネルギーや観光、農業などを挙げた。アジアフロンティアキャピタルでファンドマネージャーを務めており、スリランカ市場で10年以上、投資事業を展開するルチール・デサイ氏は、スリランカが過去数年間失っていた経済的および政治的な安定性は現在確保されており、このモメンタムを持続していくことが重要だと強調した。また、コロンボ港の南アジアゲートウエーターミナルを運営するAPMターミナルで脱炭素化グローバル長を務めるティム・ミルテンバーグ氏は、スリランカは水力や太陽光、風力などの再生可能エネルギーによる発電源が豊富であり、船舶の燃料として利用されるグリーンアンモニアを製造するインフラの整備に期待を寄せた。
(注)準関税は、関税と同様の効果を有する外国との貿易取引で生じる関税以外の課徴金や手数料などのこと。スリランカでは輸入品に対して、関税に加えて物品税(Excise Duty)や輸入税(CESS)、付加価値税(VAT)、港湾・空港開発税(PAL)などを課している(スリランカの関税制度参照)。
(ラクナー・ワーサラゲー、ディロン・ヤシュミタ、大井裕貴)
(スリランカ)
ビジネス短信 b5abc53cce934096




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