サイクロン被害のスリランカ、日系企業は操業継続に注力
(スリランカ)
コロンボ発
2025年12月08日
サイクロン「ディトワ(Ditwah)」が11月末にスリランカに上陸し、甚大な被害を及ぼした(2025年12月1日記事参照)。スリランカ災害管理局(DMC)によると、このサイクロンによるスリランカでの死者は607人、行方不明者が214人、避難者が4万3,715世帯15万2,537人、被災者が58万6,464世帯208万2,195人となっており(12月5日午後6時時点)、スリランカの全人口の1割近くが被災したことになる。
道路交通や鉄道、電気や水道、通信などのインフラは、復旧が進められている。南西部コロンボ~中部キャンディ間の主要道路は、一部車線を制限するかたちで再開した(「ニュースファースト」12月5日)。セイロン電力庁(CEB)は、停電のあった送電線のうち、85%が回復したと発表した(「デイリーミラー」12月5日)。他方、エッセンシャルサービス長官のB.K.プラバット・チャンドラキーティ氏は12月4日、鉄道の運行は全区間のうち約30%にとどまると話した(「デイリーミラー」12月4日)。
DMCは12月2日、「共同緊急援助ニーズ評価
」を発表し、次の課題を指摘した。
- 約150万人への食料供給。
- 供給不足による野菜価格の30~200%高騰。
- 12月1日時点で、78の道路と15の橋が損傷、27万7,877棟の建物が浸水、6万5,000件の停電や通信不良の報告。
- 病院の浸水や損傷による医療へのアクセス制限。
- 給水施設の損傷や水没による断水。
- 学校の損傷や避難所への転用による教育機会の喪失。
- 全人口のうち、10%が新たに貧困ライン以下に陥る恐れ。
ジェトロが現地進出日系製造企業13社(製造業8社、非製造業5社)にサイクロンの影響について話を聞いたところ(インタビュー日:12月5日)、いずれも工場や事務所建物への大きな被害や死傷者は確認されなかった。サイクロン直撃当初は、臨時休業や自宅待機も見られたが、12月5日時点では、ほぼすべての企業で9割以上の社員が出社し、通常に近い生産体制に回復しているという。他方、中心都市のコロンボ周辺を含む10社で従業員の自宅の浸水が確認されており、複数の企業は、被害の深刻な従業員に対して、食事や現金の手当を支給している。
(大井裕貴)
(スリランカ)
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