スリランカ政府が2026年度予算案を発表

(スリランカ)

コロンボ発

2025年11月11日

スリランカのアヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ大統領は11月7日、国会で2026年度(暦年)予算案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。歳入額は前年度比3.9%増の5兆3,000億スリランカ・ルピー(約2兆6,500億円、1スリランカ・ルピー=約0.5円、以下ルピー)、歳出額は前年度予算比7.8%増の7兆570億ルピーを見込んでいる(添付資料表参照)。

ディサーナーヤカ大統領は、経済回復に向けた当面の戦略として、財政規律に沿った透明性と、説明責任を備えた公的財政管理の確立を掲げ、政府債務残高のGDP比を2026年には96.8%、2030年までに87.0%まで引き下げる目標を示した。加えて、7%を超える持続的な経済成長、輸出拡大、債務持続性の確保、製造業の強化、農村部での貧困撲滅、デジタル化の推進を見据えた。

同予算案の基本方針は11月14日の第2読会で採決され、翌15日から委員会での条文ごとの審議を経て、12月5日に国会で採決される予定だ。

主な2026年度予算案の内容は、次のとおり。

  • 戦略的開発事業法、コロンボ・ポートシティ委員会法の改正による、外国直接投資の円滑化と恩典制度の透明性向上。官民連携(PPP)の法的枠組みの策定。投資家の信頼強化を図る、投資保護法の制定。政府の定める投資優先分野において一定の投資基準額を満たす外国人投資家向け居住ビザ制度の導入。
  • 国家輸出開発計画の策定。既存の自由貿易協定(FTA)の精査と新規協定の検討。貿易円滑化に向けた窓口の集約化。
  • 特に中小企業からの新規投資拡大に向け、割増減価償却(enhanced capital allowance)の最低投資基準額を、25万ドルに引き下げ。
  • デジタル経済進展に向け、デジタル版国民識別番号の導入。政府機関での支払いにおけるオンライン決済拡充。データセンターの投資誘致促進。
  • カダワッタ~ミーリガマ間、ポトゥヘラ~ラムブッカナ間、ラムブッカナ~ガラゲダラ間の中央高速道路の建設。
  • 港湾業務改善に向けた、コロンボ港西第2ターミナルとコロンボ北港の拡張、総合的な港湾データ管理システムの導入。
  • 2026年4月から、付加価値税(VAT)および社会保障負担賦課金(SSCL)の納税対象となる売上高の基準を従来の6,000万ルピーから3,600万ルピーに引き下げ。
  • 2026年4月から、関税率を0%、10%、20%、30%の4段階に改定。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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