トランプ米大統領、対ブラジルIEEPA追加関税から農産品を対象外とする大統領令発表

(米国、ブラジル)

ニューヨーク発

2025年11月25日

米国のドナルド・トランプ大統領は11月20日、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づきブラジルに課している追加関税(対ブラジルIEEPA追加関税)の対象品目を修正する大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。米国税関・国境警備局(CBP)も同日、ガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

トランプ氏は8月から、ブラジルによる米企業の利益や米国民の人権侵害などが米国の国家安全保障、外交政策、経済を脅かす緊急事態に当たるほか、ジャイール・ボルソナーロ前大統領に対する「政治的迫害」がブラジルの法治や人権を脅かしているとして、同国に40%の追加関税を課している(2025年8月1日記事参照)。

今回の大統領令では、トランプ氏とルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領が10月6日に電話会談を行い、これら懸念事項に対する交渉開始で合意したとして、特定の農産品を対ブラジルIEEPA追加関税の対象外にすると決定した。追加関税の対象から除外される具体的な米国関税分類番号(HTSコード)は、大統領令の付属書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に記載されている。トランプ氏は11月14日にも、特定の農産品を相互関税の対象外とする大統領令を発表しており(2025年11月17日記事参照、注1)、CBPのガイダンスによれば、両者の対象外品目は多くが共通している。

また、今回の対象外が適用されるのは、相互関税の対象外と同じ米国東部時間11月13日午前0時1分以降の通関からとなる。関税の還付が必要な場合は、CBPの標準的な手続きに従って実施する(注2)。

今回対象外となる品目にはコーヒーや牛肉が含まれており、米国通商専門誌インサイドUSトレード(11月20日)は、米国はブラジルから多くのコーヒーを輸入していることから、コーヒーへの追加関税は米国内で議員から反発がでていた、と伝えている。また牛肉については、米国内価格の上昇が課題視されていた、と紹介している。ハワード・ラトニック商務長官は、11月20日のフォックスニュースによるインタビューで、農産品の関税引き下げは、トランプ氏が重視している物価の低下に向けた措置の一環だと述べている。

(注1)農産品を相互関税の対象外とした11月14日の大統領令に対する、ブラジル産業界の反応は、2025年11月20日記事参照

(注2)ガイダンスでは、推定関税が支払われる前に修正申告をし、還付手続きの回避を推奨している。推定関税を支払い済みの場合、清算前であれば、事後修正(PSC)を行うことができる。PSCの詳細はCBPのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますユーザーズガイドPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照。清算済みの場合は異議申し立て(protest)を行える。Protestは清算から180日以内に輸入者、代理人または弁護士がCBPに対して異議申し立てをできる。通常、CBPフォーム19PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)というフォーマットが利用される。詳細はCBPのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(赤平大寿)

(米国、ブラジル)

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