米国と中央アジア諸国首脳会議、重要鉱物で協力拡大

(ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、トルクメニスタン、米国)

タシケント発

2025年11月13日

中央アジアと米国の首脳会議が11月6日、米国の首都ワシントンで開催された。同首脳会議は2023年以来の開催だ(2023年9月27日記事2023年9月29日記事参照)。中央アジア各国首脳による訪米中、重要鉱物の開発・供給や、米国の技術および機械・部品の提供、人工知能(AI)分野の協力などに合意した。

首脳会議には米国のドナルド・トランプ大統領を議長として、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領、キルギスのサディル・ジャパロフ大統領、タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領、トルクメニスタンのセルダル・ベルディムハメドフ大統領が参加した。

主要な議題は重要鉱物分野だった。米国は重要鉱物サプライチェーンの構築(2025年11月5日記事参照)を急ぐ中で、中央アジアと連携を進める。カザフスタン国営鉱業企業タウケン・サムルクと米投資会社コーブ・キャピタルは、世界最大級のタングステン鉱床の開発と鉱山開発で合意した。投資額は11億ドルに上るとみられる。

ウズベキスタン鉱業・地質省は、米石油・ガス採掘企業デナリ・エクスプロレーションと、希土類元素(レアアース)の生産に関する協定を締結した。ウズベキスタン復興開発基金と米国の精錬企業リエレメント・テクノロジーズは、希土類金属分野のプロジェクト実施に関する協定に署名した。ウズベキスタンと米国による重要鉱物サプライチェーン拡大への総投資額は4億ドルと見積もられている。

米国は中央アジアへの機械・部品の供給についても合意した。ボーイングは、ウズベキスタンとカザフスタンにそれぞれ85億ドルと70億ドル相当の新型ドリームライナー787を供給する。タジキスタンも、ボーイングから32億ドル相当の航空機や航空支援システムを調達する意向を表明した。ほかに、今後3年間で50億ドル相当の自動車部品がウズベキスタンに、42億ドル相当の鉄道機関車と30億~50億ドル相当の農業機械がカザフスタンに供給される。

AI分野でも協力を確認した。カザフスタン人工知能・デジタル発展省は、エヌビディア、シスコ、オラクル、ヒューレット・パッカード・エンタープライズなどの米大手IT企業と、総額37億ドルのパートナーシップ契約を締結した。タジキスタンのIT企業ジプルAIは、IT企業パープレキシティAIと同国政府機関向けAIブラウザの導入について契約した。

カザフスタン大統領府の発表(11月7日)によると、同国と米国企業との間では合計170億ドル相当、29件の協定が締結された。トランプ大統領は11月7日に自身のSNSで、ウズベキスタンと米国企業の契約額は今後3年間で350億ドル相当に上ると明らかにした。

(ウラジミル・スタノフォフ)

(ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、トルクメニスタン、米国)

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