バイデン米大統領、中央アジア5カ国首脳と重要鉱物含む関係強化で合意

(米国、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)

ニューヨーク発

2023年09月27日

米国のジョー・バイデン大統領は9月21日、米国ニューヨークで開催された第78回国連総会に参加した中央アジア5カ国(C5)の首脳との間で、安全保障と経済面での協力強化に向けたパートナーシップの立ち上げで合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

「ニューヨーク宣言:C5+1安全保障、経済およびエネルギーパートナーシップを通じた強靭(きょうじん)性」と題する宣言書には、バイデン大統領のほか、カザフスタンのカシム=ジョマルト・トカエフ大統領、キルギスのサディル・ジャパロフ大統領、タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領、トルクメニスタンのセルダル・ベルディムハメドフ大統領、ウズベキスタンのシャフカット・ミルジヨーエフ大統領が署名した。宣言書は、冒頭の総則的な(1)「パートナーシップを通じた強靭性」に続き、(2)「拡大された安全保障協力」、(3)「C5+1経済・エネルギー回廊」、(4)「エネルギー安全保障の推進と気候変動の影響への対応」、(5)「人を通じたパートナーシップ」、(6)「パートナーシップの新たな環境に向けて」の6つのパートで構成されている。

これらの中で特に、今後の行動が具体的に示されているのが(3)と(4)にまたがって言及されている重要鉱物に関する取り組みだ。中央アジアには、レアアースやリチウム、コバルトなど多種類の重要鉱物資源が眠っているとされる。例えば(3)に関して、米国は国務省、国際開発金融公社(DFC)、輸出入銀行、国際開発庁(USAID)などを通じて、同地域のインフラ開発を支援する。また、米国とC5間の経済協力の議論を深めるため10月に、「USAID C5+1コネクティビティ閣僚会議」を開催する予定だ。(4)に関しては、中央アジアの重要鉱物資源の開発とそれらの安全保障を推進するために、「C5+1重要鉱物対話」の枠組みを設立することで合意した。重要鉱物に関する課題や機会についての情報交換を行うとともに、米国・C5間の官民交流を深めて投資を活性化することを目的としている。バイデン政権は、電気自動車(EV)・同バッテリーを含む先端製造業に不可欠とされる重要鉱物の安定確保に向けて、複数国間および2国間の協力枠組みの立ち上げを積極的に進めており、今回の宣言もその一環とみられる。2023年に入っては6月に、重要鉱物資源を豊富に有するモンゴルとの間で重要鉱物に関する協力覚書を締結している(2023年6月28日記事参照)。

(磯部真一)

(米国、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)

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