英政府、2件のCO2回収プロジェクト投資を最終決定、建設段階へ
(英国)
ロンドン発
2025年10月01日
英国政府は9月25日、ウェールズ北部とイングランド北西部での2件の二酸化炭素(CO2)回収プロジェクトの契約を締結し、最終投資決定(FID)に到達したと発表した。両プロジェクトは近く建設段階に移行する見通しだ。
対象となるのは次のプロジェクト2件。
〇ペーズウッドCO2回収プロジェクト:
- 開発主体:ハイデルベルク・マテリアルズUK(建材メーカー)
- 内容:ウェールズ北部フリントシャー州での英国初のCO2回収機能付きセメント工場
〇プロトスCO2回収プロジェクト:
- 開発主体:エンサイクリス(廃棄物発電事業者)
- 内容:イングランド北西部チェシャー州での世界初のフルスケールCO2回収機能付き廃棄物発電施設
両プロジェクトはCO2回収・有効利用・貯留(CCUS)クラスターハイネットの一部として、イタリアのエニが建設する、リバプール湾輸送・貯蔵ネットワーク(2025年5月1日記事参照)に参画する最初の基幹プロジェクトとなる。年間の回収量はペーズウッドが約80万トン、プロトスは約40万トン、合計約120万トンのCO2を年間で削減する計画だ。また、両プロジェクトは英国内での高度技能職者の雇用創出にも貢献する。
英国政府は6月11日に歳出見直し(Spending Review)を発表し(2025年6月13日記事参照)、総額94億ポンド(約1兆8,612億円、1ポンド=約198円)をCCUSに投じるとしており、今回のプロジェクトはその一環と位置付けている。両プロジェクトは政府の支援対象選定プロセスで優先プロジェクトに指定されていた(2025年8月8日記事参照)。
(バリオ純枝)
(英国)
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