スターマー英首相、洋上風力供給網への投資発表
(英国)
ロンドン発
2025年05月01日
英国のキア・スターマー首相は4月24日、公営エネルギー企業グレート・ブリティッシュ・エナジー(GBE)を通じ、洋上風力サプライチェーンに3億ポンド(約573億円、1ポンド=約191円)を投資することを発表した。国際エネルギー機関(IEA)とともに24日から25日に共催した「エネルギー安全保障の未来サミット」に合わせて発表したものだ。政府は今回の投資により、追加の民間企業の投資を促し、さらに数十億ポンドをもたらす可能性があるとしている。6月に予定される歳出見直し(Spending Review)に先立つかたちで表明した。
これに合わせ、エネルギー安全保障・ネットゼロ省などはクリーンエネルギー開発者と投資家に書簡も送付した。この書簡には、クリーンエネルギーへの投資を促進するための英国政府による具体的な措置や政策枠組みを詳述しており、英国がクリーンエネルギー分野で最適な投資先であることを強調する内容を盛り込んでいる。
英国のエネルギー業界団体エナジーUKのアダム・バーマン氏は、今回の政府発表が英国のクリーンエネルギーサプライチェーンへの信認を示していると評価した。
スターマー首相は未来サミットでの演説で、2024年に創設したクリーン電力同盟(Clean Power Alliance、2024年11月29日記事参照)の下、クリーンエネルギーサプライチェーンの障害の排除や多様化に向けた国際的なイニシアチブを新設することを発表した。EUとの間では、欧州のエネルギー安全保障の確保に向けたパートナーシップの構築や、加盟国との国際連系線のさらなる拡大に向けて取り組むとした。
また、イングランド北西部とウェールズ北部の二酸化炭素(CO2)回収・有効利用・貯留(CCUS)クラスター、ハイネットにおけるCO2の輸送・貯留システムの建設について、イタリアのエニとの合意が完了したことを発表し、同地域で2,000の雇用創出につながるとした。
再生可能エネルギー(再エネ)関連では、4月15日にガス・電力市場局(Ofgem)が電力網接続プロセスの改革を承認し、クリーンエネルギープロジェクトの迅速な接続を可能にする計画を発表している(2025年4月25日記事参照)。
(バリオ純枝)
(英国)
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