英政府、CCUSクラスター拡張に向け新たに6プロジェクトを交渉段階へ
(英国)
ロンドン発
2025年08月08日
英国のエネルギー安全保障・ネットゼロ省は8月5日、政府による支援対象のトラック1(注)に選定しているイングランド北西部マージーサイドと、ウェールズ北部のハイネットの二酸化炭素(CO2)回収・有効利用・貯留(CCUS)クラスターについて、拡張プロジェクト(Track 1 expansion、T1x)申請の審査を終了し、6つのプロジェクトを交渉段階に進めることを発表(添付資料表1参照)した。
また、政府は既に交渉段階に進んでいる4つのプロジェクトと、今回新たに発表した6つの計10の交渉中のプロジェクトについて、「優先」または「スタンバイ」の2つに分類した(添付資料表2参照)。T1xのプロジェクトの中で優先プロジェクトに分類したのは次の2つ。
- コナーズ・キー低炭素発電プロジェクト(ユニパー):ウェールズ北部にCO2回収・貯留(CCS)を備えたガス火力発電所を新設。
- インス・バイオエナジーCCSプロジェクト(エベロ・エナジー):イングランド北西部で廃木材を利用して低炭素エネルギーを生産し、CO2を回収。実現すれば、英国初の炭素回収による温室効果ガス除去(GGR)プロジェクトとなる。
英国政府は2024年10月にトラック1(ハイネット、イースト・コースト・クラスター)に最大217億ポンド(約4兆2,749億円、1ポンド=約197円)の拠出を行うと表明しており(2024年10月11日記事参照)、今回の発表は拠出が進展していることを示すものだとした。また、6月に発表した歳出見直し(Spending Review)では、トラック1、トラック2(エイコーン、バイキング)など、CCUSプロジェクトの支援のために、94億ポンドを追加で割り当てることを発表している(2025年6月13日記事、2025年6月18日記事参照)。
(注)政府は支援対象となるCCUS産業クラスターについて、2020年代中期までに開発するトラック1(ジェトロの2022年11月29日調査レポート、2023年3月7日調査レポート参照)と、2030年までに開発するトラック2(2023年8月4日記事参照)を選定している。
(バリオ純枝)
(英国)
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