ベルリン政財界、大阪・関西万博機にスタートアップエコシステムを首都圏と関西でPR
(ドイツ、日本)
ベルリン発
2025年10月16日
ドイツのベルリン州政府などは、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のドイツパビリオン(2025年5月26日記事参照)で実施されたベルリンウイークに合わせ、9月15〜24日に訪日し、万博や首都圏、関西の各都市でスタートアップエコシステムをPRした。フランツィスカ・ギファイ・ベルリン州副首相兼経済・エネルギー・公共企業担当をはじめとするベルリン州政府、デジタルハブイニシアチブ(注1)、ベルリン商工会議所、ベルリン経済振興公社(ベルリンパートナー)、最新設備を備えたイノベーションハブのMotionLab.Berlin
などが訪日し、在日ドイツ商工会議所との協業で実施した。
ギファイ州副首相をはじめとするベルリンの政財界関係者やデジタルハブイニシアチブの代表者らは9月18日に万博内でGlobal Startup Expo(GSE、2025年9月24日記事参照)を視察し、脱炭素などのグリーン分野で対日事業を手掛けるドイツ発スタートアップのEnapterやSOLAR MATERIALS
のほか、ドイツで展開する日本発スタートアップのブースを訪れ、各社の現状や展望をヒアリングした。
ギファイ州副首相によるGSE視察(ベルリン州政府提供)
同日は万博のドイツパビリオンでベルリンのピッチイベントを開催し、ギファイ州副首相をはじめ、産業向け人工知能(AI)分野のスタートアップAiloysや太陽電池などを手掛けるBAE Batterien
、先端素材のクラスター組織Innovation Network for Advanced Materials(INAM)
などが登壇し、日本企業との協業を呼びかけた。
9月22日にはMotionLab.Berlinが東京イノベーションベース(TiB)でピッチ交流会を開催した。ヘルスケアや行政分野のデジタル化のほか、教育テック分野のスタートアップが少子高齢化などの共通課題をテーマに、J-Bridge(注2)メンバーなどの日本企業に対して、解決策を提案した(ピッチ内容の詳細(0.0B))。MotionLab.Berlinは最新設備を共有して使えるよう提供する「メーカースペース」を欧州最大級の1万7,000平方メートル規模に拡張する計画を進めている。利用者はドイツのみならず、ウクライナを含む中・東欧地域から進出した技術系の起業家も多く、業種を超えて施設内で連携している。ある日本企業は、この多様性やインクルーシブネスを特徴とするエコシステムがベルリンで形成されていることに注目していると話した。
TiBでディープテックのスタートアップをPR(MotinLab.Berlin提供)
ミッションメンバーは東京・渋谷や大阪、京都、横浜なども訪れ、日本各地のエコシステムの現状などを視察した。
なお、ベルリン州政府は2025年11月24~28日に、アジアとベルリンをつなぐアジアベルリンサミットを開催する予定だ(2024年12月18日記事参照)。
万博でデジタルハブを紹介(GTAI提供、©Inshorefilms)
(注1)連邦政府によるドイツ各地25カ所の産業エコシステムの国際化・デジタル化を支援するためのイニシアチブ。
(注2)日本企業とスタートアップなどの海外企業の国際的なオープンイノベーション創出のためのビジネスプラットフォーム。
(小菅宏幸)
(ドイツ、日本)
ビジネス短信 a59daecf276a0a02