「Global Startup EXPO 2025」が開催、国内外スタートアップが大阪・関西万博に集結
(日本、世界)
調査部調査企画課
2025年09月24日
経済産業省、近畿経済産業局、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、ジェトロが主催する「Global Startup EXPO 2025(GSE2025)」が9月17~18日、大阪・関西万博会場で開催された。日本のスタートアップエコシステム全体のグローバル化を促進し、海外からの資金や人材の呼び込みの強化を目的に、主にディープテック領域の国内外スタートアップや起業家、投資家などが一堂に会した。会場では、国内外スタートアップ145社が出展し、うち100社以上が会場内のステージでピッチを行った。また、出展企業のうち18社が、投資家や海外ベンチャーキャピタル(VC)などに向けたピッチを披露し、直接フィードバックを得る機会が提供された。
初日の開会あいさつでジェトロの石黒憲彦理事長は、日本政府が「スタートアップ育成5カ年計画」において、日本発のユニコーン企業(注)を100社輩出することを掲げている点を挙げ、同イベントが当該目標達成に向けたマイルストーンになると述べた。また、ディープテック分野が気候変動や持続可能な社会の実現など、世界課題の解決の一助になり得るとの期待を示した。
米国半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)はビデオメッセージを通じて、「当社にとって日本は重要なパートナーで、30年以上の協業の歴史がある」と述べた。そして、「AI(人工知能)による新たな産業の時代に突入する中、日本のエコシステムは着実に前進しており、スタートアップもその重要な役割を担っている」とし、AIによる産業革命を実現する上で「日本には人材や産業、革新的な精神の基盤があり、日本のAI業界関係者とのさらなる連携を期待している」と述べた。
続く基調講演とパネルディスカッションでは、岸田文雄前首相、東京大学の藤井輝夫総長が登壇し、スタンフォード大学のグレン・S・フクシマ客員研究員がモデレーターを務め、「グローバルなスタートアップエコシステムに向けて」をテーマに意見が交わされた。
開会あいさつをするジェトロ石黒理事長(ジェトロ撮影)
パネルディスカッションの様子(左から、東京大学藤井総長、岸田前首相、スタンフォード大学フクシマ客員研究員)(ジェトロ撮影)
参加した外国企業からは「本イベントを通して新たな投資家や海外VCと接触を図る機会になったと同時に、以前よりコンタクトを取っていた投資家と直接会い、製品・サービスの紹介をし、投資に向けた具体的な話し合いができた」、国内企業からは「潜在投資家やパートナー候補企業に加え、日本政府関係者との関係構築もかなう有意義なイベント」との声が聞かれた。
今回のイベントを皮切りに、日本発のユニコーン企業の創出と世界の課題解決に貢献するスタートアップ企業の誕生という政府目標の達成に向けた、産学官のさらなる連携によるスタートアップエコシステムの構築が注目される。
(注)評価額10億ドル以上で未上場のスタートアップ。
(椎名佑介、土屋朋美)
(日本、世界)
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