英政府、移民制度を変更、負担金の増額や英語要件引き上げなど
(英国)
ロンドン発
2025年10月22日
英国政府は10月14日、移民制度の変更を公表した。キア・スターマー首相が5月に発表した移民制度の厳格化に向けた白書(2025年5月13日記事参照)に基づく関連発表が相次いでいる(2025年7月4日記事参照)。今回は、(1)技能労働者(Skilled Worker)およびグローバルビジネスモビリティ(Global Business Mobility)のシニアまたはスペシャリストワーカー(Senior or Specialist Worker)のスポンサー(雇用主)に課される移民技能負担金(Immigration Skills Charge:ISC)の32%増額(注)、(2)技能労働者ビザの英語要件を、欧州言語共通参照枠(CEFR)のB1レベル(現行)からB2レベルへ引き上げ、が発表された。制度変更内容は次のとおり(各ビザの概要についてはジェトロ・ウェブサイト参照)。
- 技能労働者およびシニアまたはスペシャリストワーカーのスポンサーに課す移民技能負担金を32%引き上げ。
- 2026年1月8日から技能労働者ビザの英語力要件は、現行の欧州言語共通参照枠のB1レベルからB2レベルに引き上げ。
- 2027年1月1日から、英国高等教育機関卒業生ビザ(Graduate visa)で滞在可能な期間を現行(学士号、修士号)の2年から18カ月に短縮。ただし、博士号取得者は引き続き3年とする。
- ハイポテンシャル・インディビジュアルビザ〔High Potential Individual(HPI)visa〕について、対象となる卒業大学リストを世界トップ50から100大学に倍増。一方、年間受け入れ枠は8,000人に制限する。
- 起業意欲をもつ留学生を対象に、学生ビザからイノベ-ター創設者ビザ(Innovator Founder visa)へ切り替え可能に。
- 英国訪問を希望するボツワナ国民は、渡航前に訪問ビザの取得が必要に(2025年10月14日から適用)。
- 「権威ある賞」の受賞者などが申請資格を得られるグローバルタレントビザ(Global Talent visa)では、対象となる「権威ある賞」リストの拡大や建築家向けの業績・貢献証明要件を一部変更。
シャバナ・マームード内務相は「この国は、この国に来て貢献する人々を常に歓迎してきた」としながらも、「この国に来るなら、私たちの言語を学び、この国に貢献するという役割を果たさなければならない」とコメントした。
(注)ルイスシルキン法律事務所によれば、ISCは2025年12月半ばから、小規模・慈善団体スポンサーが年間364ポンド(約7万3,528円、1ポンド=約202円)から480ポンドへ、中規模・大規模スポンサーが年間1,000ポンドから1,320ポンドに引き上げられる。
(バリオ純枝)
(英国)
ビジネス短信 776b3d9c761f350b