英政府、移民制度の変更公表、最低年収要件を引き上げ

(英国)

ロンドン発

2025年07月04日

英国政府は7月1日、移民制度の変更を公表した。移民制度の厳格化に向けて5月に発表した白書(2025年5月13日記事参照)に方針を示していたもののうち、一部について導入を発表した(英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。今回導入を発表した主な施策は次のとおりで、7月22日に発効する予定だ(ビザ制度の概要についてはジェトロのウェブサイト参照)。

〇技能労働者ビザ(Skilled Worker visa)の職務レベル要件について、現行の高卒(レベル3)から学卒(レベル6)へ引き上げる。職務レベル3から5の職業については、一時不足リスト(Temporary Shortage List、TSL)に掲載されたもののみ、ビザ申請を認める。ただし、TSLに掲載されている職種に従事する外国人労働者に対しては、扶養家族(dependant)へのビザ発給は行わないとした。今回公表したTSLに掲載された職種は2026年末まで有効で、それ以降については移民助言委員会(MAC)の提言に基づいて更新するとしている。なお、7月22日時点で同ビザを取得済み、もしくは受け入れ企業によるスポンサー証書(CoS)が発行されている外国人労働者については、暫定的に職務レベルの引き上げの対象外とするとしている。

〇技能労働者ビザ、企業内転勤用のシニアまたはスペシャリストワーカービザ(Senior or Specialist Worker visa)などの一般的な最低年収要件(General salary requirement)を引き上げる。技能労働者ビザに関しては、現行の3万8,700ポンド(約762万3,900円、1ポンド=約197円)から4万1,700ポンドに、シニアまたはスペシャリストワーカービザについては、現行の4万8,500ポンドから5万2,500ポンドに引き上げる。職種別の年収要件(Going rate)についても更新する。

このほか、移民技能負担金(Immigration skills charge)の増額や、英語力要件の引き上げなど、白書で示していた他の変更については、2025年中に導入する予定としている。

(山田恭之)

(英国)

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