イラン通貨リアル、制裁再発動で対ドル為替レートが過去最安値を記録
(イラン、米国、英国、フランス、ドイツ)
テヘラン発
2025年10月03日
国連安保理決議2231号(注)に基づく対イラン制裁〔いわゆる「スナップバック(制裁復活)」〕が日本時間9月28日、再発動された(2025年9月29日記事参照)。これを受け、イランのマースード・ペゼシュキヤーン大統領は30日、制裁措置と経済的制限に関して、「現在、われわれは困難な状況にあるが、近隣諸国との関係改善を含め、対策を講じている」と述べた〔9月30日付イスラーム共和国通信(IRNA)〕。
制裁再発動に関する国内メディアの報道では、改革派寄りとされる日刊紙「シャーグ」が「包括的共同作業計画(JCPOA)は死んだ」との見出しを掲げた。また、保守強硬派の「ケイハン新聞」は「スナップバックの経済的側面に関する偽りの誇大宣伝は、実際の効果よりもはるかに大きい」と論評した。
米国との協議が進展し、制裁解除や核合意再建への期待に関する肯定的な報道が増え始めた4月12日以降(2025年4月14日記事参照)、イランの経済情報サイト「TGJU」によると、外国為替市場ではイランの通貨リアルの対ドル為替レート(市場レート)が高騰し、4月17日には1ドル=約86万リアルを記録していたが(2025年4月18日記事参照)、スナップバックの再発動によってリアルは急落し、10月1日現在、過去最安値の1ドル=114万リアルに達した。
また、現地ヒアリングによると、為替レートの不安定化を受け、一時的に買い取り業務を停止している両替業者もいるという。
(注)2015年に国連安保理で採択されたイランの核問題に関する安保理決議(参考:2025年9月29日付経済産業省ニュースリリース)。
(マティン・バリネジャド)
(イラン、米国、英国、フランス、ドイツ)
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