イラン政府、スナップバック制裁の正当性を否定
(イラン、フランス、英国、ドイツ、中国、ロシア)
テヘラン発
2025年09月29日
イスラム議会研究センター(IPRC、注)は9月14日、国連安全保障理事会での「スナップバック(制裁の解除・緩和の取り消し措置)」発動は違法であり、イランへの米国による制裁に対する法的正当性を裏付けるものではないとする声明を発表した。IPRC経済研究室は、同メカニズムのイラン経済への影響に関する調査報告書を公表し、影響は「重大ではなく、対処可能」と評価した。英国・フランス・ドイツ(E3)による国際制裁復活の動きに対し、経済界および市民に安心感を与えることを目的としている。報告書では、E3の措置に法的根拠がないとしつつも、外交努力を進めるために、法的・政治的・安全保障的手段の活用の重要性を強調している〔2025年9月14日付イスラム共和国通信(IRNA)〕。
また、イラン外務省政治国際研究センター所長で外務副大臣のサイード・ハティブザーデ氏は、「E3が国際原子力機関(IAEA)との合意を尊重すると表明してきたにもかかわらず、彼らは今回も約束を守らず、イランの行動を政治的に利用している」と批判した。また、「米国とイスラエルによるイラン核施設への攻撃を受け、イランとIAEAは9月9日にエジプトのカイロで会合を実施し、今後の連携などについて合意に至り署名をしたにもかかわらず、欧州側が不備を指摘しているのは誤っている」と述べた(2025年9月19日付IRNA、9月10日付IRNA
)。
イラン外務省は、E3による国連制裁復活の試みを「違法、不当、挑発的」と非難した。欧州3カ国の行動が、イスラエルと米国による核施設への攻撃と同時期に行われた点を指摘。これらの攻撃は国連憲章違反であり、国際平和と安全を脅かし、核不拡散体制に深刻な影響をおよぼすと警告した。
国連安保理では、9カ国が反対、ロシア・中国など4カ国が支持、2カ国が棄権した。日本時間9月28日には制裁が再発動された(2025年9月28日付IRNA)。
(注)イランの議会に対する法務諮問機関として1995年に設置された研究機関。
(マティン・バリネジャド)
(イラン、フランス、英国、ドイツ、中国、ロシア)
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