米商務省、ICTS保護規則強化やAI拡散規則廃止の規則改定計画を公表

(米国)

ニューヨーク発

2025年09月29日

米国商務省は9月22日、情報通信技術・サービス(ICTS)保護規則の強化や、人工知能(AI)拡散規則の廃止など、同省の所管規則の改定計画を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。連邦政府機関は半期ごとに今後12カ月間の所管規則の改定計画を公表しており、今回は2025年7月1日から2026年6月末までの12カ月間を対象としている。なお、改定計画に記載された措置内容は最終決定ではなく、今後変更される可能性がある。

規則改定計画を詳述している行政管理予算局(OMB)のデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、商務省のうち産業安全保障局(BIS)の所管規則では、ICTS保護規則やAI拡散規則などに関して51件の改定が計画されている。

このうち、ICTS保護規則は、商務長官に対し、外国の敵対勢力の所有・支配下にある、またはその管轄・指示下にある主体によって設計、開発、製造、供給され、米国の国家安全保障などに容認できない脅威を及ぼすICTSの関連取引を調査・規制する権限を付与している。同規則に基づいてこれまで、ロシアのウイルス対策ソフト大手カスペルスキーの米国子会社の製品・サービスの提供を禁止したほか(2024年6月24日記事参照)、中国とロシアが関係するコネクテッドカーなどの輸入・販売を禁止している(2025年1月15日記事参照)。トランプ政権が4月に公表した「米国第一の通商政策」に関する報告書の要約では、バイデン前政権下では同規則が「十分に活用されていなかった」として、商務省が同規則を検証した上で、強化や改善を図る考えが示されていた(2025年4月7日記事参照)。

今回公表された改定計画によれば、ICTS保護規則に基づき、データセンター向けネットワーク機器・サービス(案件番号:0694-AK23外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、スモールオフィス・ホームオフィス(SOHO)向けルーターなど通信・ネットワーク機器(0694-AK16外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)などの関連取引の規制措置の導入が検討されている。さらに、コネクテッドカー規制の対象範囲を、1万ポンド(約4.5トン)を超える中型・大型車両に拡大する措置の導入も検討されている(0694-AK15外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

輸出管理規則(EAR)に関しては、5月に廃止の意向を発表していたAI拡散規則について(2025年5月15日記事参照)、あらためて一部を廃止する計画を示したほか(0694-AJ90外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、「米国と信頼できるパートナー国におけるAIイノベーションを促進しつつ、AI技術の中核の先端集積回路(IC)を保護するための新たな枠組みを提案する」と表明している(0694-AK22外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。このほか、希土類鉱物(レアアース)および戦略的金属に関する規則改定(0694-AK20外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)や、パブリックコメントを踏まえた先端半導体・半導体製造装置に対する既存の輸出管理措置(注)の規則改定など(0694-AI94外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます0694-AJ23外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます0694-AJ74外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の考えも示した。

(注)半導体関連製品に対する輸出管理規則については、2022年10月11日記事2023年10月18日記事2024年4月8日記事2024年12月3日記事2025年1月14日記事参照。

(葛西泰介)

(米国)

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