バルセロナでカレーメニュー開発セミナー開催
(スペイン)
マドリード発
2025年09月30日
ジェトロは9月22日、全日本カレー工業協同組合および日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)
と連携し、スペインのバルセロナで日本食レストラン関係者向けの「カレーメニュー開発セミナー」を開催した。同様の事業は2021年に開始され、英国やフランス、ドイツ(2024年10月4日記事参照)などの欧州各国で実施している取り組みだ。
スペインでの開催は今回が初めてで、約20人のレストラン関係者が参加した。日本のカレーメーカーからのプレゼンテーションやレストランシェフによる調理実演、試食を通じて、メニュー開発への実践的なアイデアを共有し、カレーの認知度向上と外食店でのカレーメニューの提供を推進することが目的。カレールーなどを用いた日本のカレーは、調理に要する材料費・人件費が低廉で、かつコンロなどの設備や提供時間が少なく済むなどの面でも優れたメニューだ。そのため、まずは寿司(すし)やラーメンといった日本食レストランを中心に導入が期待されるほか、学校給食など現地ルートでの販路拡大の余地もある。また、ルーを製造するメーカーはほとんどが日本企業で、メニュー導入により輸出促進につながる可能性が高い。
調理実演の様子(ジェトロ撮影)
セミナー前半では、全日本カレー工業協同組合の加盟企業のハウス食品から、カレーの歴史や材料、日本における位置づけ、伝統的な食べ方などを紹介。後半では、バルセロナで日本食レストランを営むウリボウ(Uribou)
の高田篤シェフとエスカパール(SCAPAR)
の桑原孝一シェフが考案したメニュー2品のレシピ紹介、調理実演、試食を行った。今回考案された「鍋焼きカレー」は、カレーライスの要素を残しつつ、チーズや卵を加え、パエリア鍋でオーブン焼きにすることでまろやかさを引き出した。もう1品の「カレー餅」は、スペインで人気が高まるMochiにカレールーと、現地で親しまれているホウレンソウと松の実のペーストを練り込み、クリーミーでなじみやすい味に仕上げられた。
提供されたメニュー2品(ジェトロ撮影)
参加者からは、「寿司やラーメンはよく見るが、カレーは珍しく貴重な機会だった」「野菜のうま味が凝縮されていておいしい」「塩味のある餅は新鮮で、スペイン人にも受けそう」といった声が寄せられた。また、ルウとカレー粉との違いや、ルーのグルテンフリー対応などに関する質問も出た。
スペインには米食文化や揚げパンに似たエンパナダがあることから、日本のカレーライスやカレーパンが受け入れられる可能性がある。今後も、日本カレーの認知拡大と市場浸透を目指し、両団体は連携してプロモーション活動を継続していく。
(宮下葉月)
(スペイン)
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