CATLが欧州市場向け最新技術搭載の車載電池を発表、海外展開を加速
(中国、欧州)
上海発
2025年09月16日
中国車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は9月7日、ドイツのミュンヘンで電気自動車(EV)などに搭載できるリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池「神行PRO」を発表した。同社によると、「神行PRO」には同社最新の安全技術「NP3.0」を取り入れており、安全性が高く航続距離が長いほか、長寿命や急速充電など優れた特徴を持つという。今後、欧州市場で一層のシェア拡大を図る。
「神行PRO」は、「長寿命」と「超急速充電」の2モデルが発表された。欧州消費者の国をまたぐ長距離移動を想定した「長寿命」モデルは、航続距離が国際調和排ガス・燃費試験方法(WLTP)基準で758キロに達する。バッテリーの寿命は12年または100万キロと、世界の乗用車向け電池で最長を誇るという。また、20万キロ走行後の劣化率はわずか9%にとどまり、欧州市場での長期リースには適した仕様だと強調した。
そして、欧州の寒冷な気候にも対応する「超急速充電」モデルの航続距離は683キロだ。わずか10分の充電で航続距離が478キロとなり、欧州市場向けLFP電池の中で最速だという。さらに、寒冷地に適した特徴として、マイナス20度の環境でも、電池残量20%から80%までの充電が20分で完了する。
CATLの発表によると同社は、欧州の9割以上の主要自動車メーカーと協力関係を結び、車載電池の輸出とともに現地生産も積極的に進めているという。既に、ドイツ、ハンガリーの電池工場が稼働しているほか、ステランティスと共同でスペインでも工場を建設している(2024年12月16日記事参照)。
CATLが欧州で攻勢を強める背景には、海外市場での販売好調が業績に大きく貢献することが挙げられる。同社が公表した中間決算によると、2025年上半期(1~6月)の売上高は前年同期比7.3%増の1,789億元(約3兆5,780億円、1元=約20円)だった。うち、海外での売上高は21.1%増の612億元と、売上高全体の34.2%を占める。一方、中国国内の売上高は1.2%増の1,177億元と微増にとどまった。また、粗利益率も海外は4.2ポイント増の29.0%で、国内の22.9%(0.1ポイント増)を上回った。
(劉元森)
(中国、欧州)
ビジネス短信 5e223f8f48706e53