中国、低炭素転換に向けた意見を発表、2027年までに排出権取引市場が主要排出産業をカバーへ

(中国)

武漢発

2025年09月01日

中国共産党中央弁公庁と国務院弁公庁は8月25日、「グリーン・低炭素転換の推進および全国炭素市場の構築強化に関する意見」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、意見)を発表した。意見は、全国炭素排出権取引市場(注)および温室効果ガス自主削減取引市場の整備・拡大について、2027年と2030年を期限として定め、それぞれ次の目標を掲げている。

  • 2027年までに、排出権取引市場が工業分野の主要な排出産業をカバーする。また、全国温室効果ガス自主削減取引市場が重点分野を全面的にカバーする。
  • 2030年までに、排出枠の総量規制を基礎として、無償と有償の配分を組み合わせた排出権取引市場を構築する。加えて、透明性が高く、幅広い主体が参画する、国際基準の全国温室効果ガス自主削減取引市場を構築する。これら取引市場の構築を通じて、排出量削減の効果が明確であり、かつ価格合理性がある炭素価格スキームを形成する。

意見は、(1)全国炭素排出権取引市場の構築の加速、(2)全国温室効果ガス自主削減取引市場の積極的発展、(3)炭素市場活性化に向けた取り組み、(4)炭素市場の能力構築強化、(5)実施体制の強化の計5項目に分かれている。

(1)では、排出権取引市場のカバー範囲拡大、排出枠管理制度の整備、排出権取引の試験地区における指導や監督管理を強化するとした。

(2)では、自主削減取引市場の構築の加速や、認証済み自主削減量の活用を推進するとした。

(3)では、取引商品の拡充を掲げ、金融機関による排出権取引に関連するグリーン金融商品およびサービス開発を支援するとともに、温室効果ガス削減へのサポートを強化するとした。また、排出権取引主体を拡大するほか、排出権取引市場に対する監督・管理を強化するとした。

(4)では、排出権取引市場の管理および支援体制の強化が提起された。そのほか、排出審査および報告管理の強化や、排出量検証の規範厳格化など、排出に対する管理体制を強化するとした。

(5)では、排出権取引市場の整備・拡大にあたり、各地域・部門が指導を強化するとした。加えて、政策や法制度による支援を強化するとした。

(注)中国の全国炭素排出権取引制度(全国ETS)は、2021年7月に運用が開始された(2021年7月19日記事2023年12月12日(1)12月12日(2)2024年12月18日付地域・分析レポート参照)。当初、取引対象は発電事業者に限られていたが、2025年3月から鉄鋼、セメント、アルミニウム精錬業界の事業者にも対象範囲を拡大している。

(西島和希)

(中国)

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