発電事業者を対象とする全国レベルの排出権取引を7月16日から開始

(中国)

北京発

2021年07月19日

中国の上海環境エネルギー取引所は7月15日付の公告で、全国レベルの排出権取引を7月16日から開始すると発表した。7月7日の国務院常務会議において、全国を対象とする排出権取引を7月の適切な時期に開始すること、まずは発電事業者から取引をスタートさせ、今後対象となる業界の範囲を徐々に広げていくことが決定されていた(注1)。

生態環境部の趙永民副部長は7月14日の会見において、習近平国家主席が表明した2030年までのカーボンピークアウト、2060年までのカーボンニュートラルという目標を達成する上で、排出権取引は重要な政策ツールだと述べた。また、排出権取引は、二酸化炭素(CO2)排出量の多い産業が産業構造転換やエネルギー消費の低炭素化を進め、先行して排出をピークアウトさせることを促すほか、炭素排出に対する価格付けによって低炭素に関する技術イノベーションに資金を誘導するといった点で重要な意義があると紹介した。

趙氏は、全国での排出権取引を発電事業者から開始することについて、排出量のデータ測定が高度に自動化されており、排出データの検証や排出枠の割り当てが容易だとした。なお、発電事業者以外には、石油化学、化学工業、建材、鉄鋼、非鉄金属、製紙、空運などの業界でこれまで排出データの測定、申告、検証の取り組みを行っており、今後は関連業界における温室効果ガスの排出の測定・報告に関する国家標準の改定を進め、各業種の排出枠割り当て方案の策定を検討していくとした(注2)。

また、排出権取引市場におけるデータの品質を高めるため、排出データの捏造(ねつぞう)に対する処罰を厳しくするほか、地方の生態環境部門や企業のデータ管理に対して監督や指導を強化するとした(注3、4)。

そのほか、排出権取引市場での取引価格については、現在7省・市で試行されている排出権取引市場における価格が過去2年で1トン当たり約40元(約680円、1元=約17円)前後になっているとしつつ、全国レベルの排出権取引市場においては、排出枠の割り当て方法を改善することなどによって、合理的な価格形成を図るとしている。

排出権をグリーンファイナンスに活用しようとする動きもみられる。銀行保険監督管理委員会政策研究局の責任者は、将来的に排出権を銀行融資の担保とみなすことを示唆した。

(注1)排出枠の割り当て対象は、発電事業者(他業種の企業の自家発電所も含まれる)2,225社。

(注2)2013年以降、排出権取引が試行的に実施されてきた北京市、上海市、天津市、重慶市、湖北省、広東省、広東省深セン市の7つの省・市の排出権取引市場については、段階的に全国市場への移行を図るとしている。

(注3)2021年3月に出された「排出権取引管理暫定条例修正草案(意見募集稿)」では、排出データや台帳の記録を改ざん・偽造した排出事業者に対しては、所在地の県レベル以上の生態環境部門が期限までに改善するよう命じ、対応しなければ5万元以上20万元以下の罰金に処すると規定されている。

(注4)生態環境部の趙副部長の説明によると、現行の手続きでは、企業が排出データを報告し、省レベルの生態環境部門が検証した上で、中央の生態環境部が地方政府に対する検査督促と企業に対する現場サンプリング調査を実施するとしているほか、企業に排出状況の公開を要求するとしている。

(小宮昇平)

(中国)

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