米道路交通安全局、自動運転タクシーのズークスにハンドル・ペダルなし車両の公道試験を許可

(米国)

サンフランシスコ発

2025年08月18日

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は86日、アマゾン傘下で自動運転タクシーを開発するズークス(Zoox)に対し、ハンドルやアクセル、ブレーキペダルなど従来の運転装置を備えない自動運転車(AV)の公道試験を可能にする免除を付与した。これは、NHTSA4月に発表したAV免除制度(AVEP2025年4月30日記事参照)に基づく米国製車両への初の適応事例となる。それ以前は輸入車のみが対象であり、米国企業には不利な状況にあったが、制度変更により連邦自動車安全基準(FMVSS)に適合しない車両でも、より簡易かつ迅速な免除手続きを経て、米国内の公道で運行できるようになった(2025年6月24日記事参照)。

今回の免除は、ハンドルやペダルを持たない同車両がFMVSSに適合するか否かを巡る論争に終止符を打つものとなる。ズークスは20227月に自主認証を発表したが、NHTSAは難色を示し、20233月に手続きやデータを精査する調査を開始していた。その後、ズークスは専用設計車両でカリフォルニア州フォスターシティの本社近郊で公道試験を開始し、ラスベガスやサンフランシスコへ試験エリアを拡大。今回の免除により、NHTSAはズークスの自主認証に関する調査を終了した。

写真 (左)サンフランシスコ市内にてハンドル、ペダルなしのズークス車両、(右)従来型のトヨタハイランダー仕様のズークス車両(ともにジェトロ撮影)

(左)サンフランシスコ市内にてハンドル、ペダルなしのズークス車両、(右)従来型のトヨタハイランダー仕様のズークス車両(ともにジェトロ撮影)

同社は6月、サンフランシスコ・ベイエリアに年間1万台の生産を目指す自動運転車製造施設を開設し、商業サービス展開への道筋を明確にした(2025年6月24日記事参照)。

現時点でズークスは商業サービスを開始していないが、サンフランシスコ、ラスベガス、シカゴ、オースティンとマイアミでテスト走行を行っている(2024年6月11日記事参照)。2025年1月には、ラスベガスで開催された世界最大級の先端技術見本市「CES2025」(2025年1月8日記事参照)で一般向け早期乗車体験プログラムを実施した。

(松井美樹)

(米国)

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