米運輸省、自動運転車導入の加速に向けた新枠組みを発表

(米国)

ニューヨーク発

2025年04月30日

米国運輸省のショーン・ダフィー長官は4月24日、道路交通安全局(NHTSA)が策定した自動運転車(AV)に関する新たな枠組み「自動運転車の枠組み(Automated Vehicle Framework)」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これは、同長官が掲げるイノベーション政策外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの一環で、米国の製造業強化と技術革新の促進を図るとともに、安全基準の維持と、州ごとにばらつきのある現行規制の見直しを目指す。同長官は、中国との技術競争の中で国家としての競争力を高めるための措置だと強調した。

同枠組みは、(1)公道でのAV運行の安全確保、(2)不要な規制の撤廃によるイノベーション促進、(3)安全性と機動性の向上を通じたAVの商用展開の支援を柱とする。

NHTSAはまず、車両の安全基準を定める連邦自動車安全基準(FMVSS)の現代化に向けた作業を加速し、安全性と利便性の向上を両立させた商用AVの展開を目指す(2022年3月22日記事参照)。安全確保の取り組みとして、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転システム(ADS)を搭載した車両に関する事故報告義務(Standing General Order)を継続する一方、報告様式を見直し、重複や不要な項目を削減して簡素化する。また、イノベーション促進の一環として、AV免除制度(AVEP)の対象を輸入車から国内製造車にも拡大する。AVEPは公道でFMVSSに準拠していない車両を用いた研究や実証を許可する制度のこと。これまで輸入AVのみを対象としていたが、新制度では国内で開発されたAVも公道走行が可能となる(詳細はNHTSAレターPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照)。

今回の発表に際し、NHTSAのピーター・シムスハウザー首席法律顧問は「報告義務の簡素化と免除制度の拡大により、AV開発の迅速化と効率化が可能になる。米国にとって次世代の自動車技術育成の重要な一歩となる」と述べた。今後、統一的な全国基準の整備に向けた議論も進める見通しだ。

(大原典子)

(米国)

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