米運輸省、自動運転車の商用化に向け、車両安全基準の適用免除手続きを簡素化

(米国)

ニューヨーク発

2025年06月24日

米国運輸省のショーン・ダフィー長官は6月13日、自動運転車(AV)の商用化を促進するため、連邦安全基準の適用免除手続きを簡素化することを発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。この措置は、AVにおける米国の技術的優位を強化し、中国をはじめとする海外勢に対抗することを目的とする「自動運転車の枠組み(Automated Vehicle Framework)」の一環であり、同長官が4月24日に発表していた方針に基づくもの(2025年4月30日記事参照)。

米国で販売される車両には、連邦自動車安全基準(FMVSS)(連邦行政命令集タイトル49パート571外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の順守が義務付けられているが、同パート555外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、FMVSSに完全に適合しない車両であっても、一定の要件を満たし認可を得れば、メーカー1社あたり年間2,500台を上限に販売を認めている。ただし、パート555は自動運転システム(ADS)搭載車を前提としたものではなく、手続きに時間がかかっていたことから、今回新たにAV向けのガイダンスを提供し、申請内容を簡素化するなどして、商用化を早める方針だ。

FMVSSを所管する米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は自動車事故による人命の損失や負傷、経済的損失を減らすことを目的としており、具体的には、車両安全基準の設定と管理、車両性能の評価、燃費基準の設定と管理、交通事故に関する調査・研究、州や地方自治体と連携した交通安全プログラムなどを展開する機関。ダフィー長官は「パート555の免除プロセスには、最新技術に追いつくことができない不必要な官僚主義で開発者を何年も足止めしている、といったもっともな批判の声が上がっている」「このプロセスを合理化することで、交通イノベーションに対する障壁を取り除き、米国のAV生産者が国際的なライバル企業に打ち勝ち、安全性を維持できるようにする」と述べた。 また、NHTSAのピーター・シムシャウザー首席顧問は「NHTSAはAVにも対応したFMVSSの現代化に引き続き取り組んでいる。その間、パート555における適用免除が、国内のAVの継続的な発展を可能にする上で不可欠な役割を果たす」と述べた。

米国では、カリフォルニア州やテキサス州、アリゾナ州などの一部都市で、AVによる商用サービスが始まっている。6月22日には電気自動車(EV)メーカーのテスラがテキサス州オースティンで「ロボタクシーのサービスを開始した」と発表しており、今後の展開が注目されている。

(大原典子)

(米国)

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