米主要港、6月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比0.7%増、2025年後半は関税の影響で大幅減の見通し
(米国)
ニューヨーク発
2025年08月12日
全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」(8月8日)によると、6月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は前月比0.7%増、前年同月比8.4%減の196万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった(注2)。
今後の見通しでは、小売業者は8月の相互関税発動(2025年8月4日記事参照)の影響を回避するべく輸入の前倒しを進めたことから、7月は再び駆け込みによる輸入増となり、前月比17.3%増、前年同月比0.5%減の230万TEUになると見込まれている。これは第1四半期(1~3月)にみられた駆け込み輸入を上回り、過去1年間で最高水準となる。その後は、8月は前年同月比減の220万TEUと高めの水準となるものの、おおむね同月までにホリデーシーズンの在庫は確保される見込みで、それ以降の輸入量は再び急速に下落すると予想されている。
さらに、2024年後半は米東海岸とメキシコ湾岸の港湾スト(2024年10月7日記事参照)の懸念から輸入が増加していたこともあり、9月は同19.5%減の183万TEU、10月は18.9%減の182万TEU、11月は21.1%減の171万TEU、12月は19.3%減の172万TEUと、前年同月比で見た場合に大きな落ち込みが予想され、2023年4月の178万TEU以来の低水準になると予想されている。この結果、2025年通年での輸入量は前年比で5.6%減少すると予測されている。
NRFサプライチェーン・税関担当副会長のジョナサン・ゴールド氏は「この予測はまだ暫定的なものだが、関税と政権の貿易政策がサプライチェーンに及ぼしている影響を示している。関税は消費者物価の上昇を引き起こし始めており、輸入量の減少は店頭に並ぶ商品の減少につながる。中小企業は事業継続の困難に直面することになる」と述べた。また、同氏は「関税引き上げではなく、引き下げ、市場を開放する拘束力のある貿易協定が必要だ。関税は米国の輸入業者が支払う税金であり、これにより米国の消費者価格の上昇、雇用減少、企業投資の低下、景気減速を引き起こすことになる」との懸念を示した。
また、業界のベテランアナリスト、ジョン・マッカウン氏は「2025年の輸入減少は関税が原因だ。残念ながら現在では、この傾向が短期的なものに終わるという兆候はない」と述べた。また、「2025年の年間輸入量が減少する可能性が高い」とし、「これは、コンテナ輸送の60年の歴史の中で、米国の貨物量の年次変動としては最も顕著なものの1つになるだろう」と指摘した(ブルームバーグ7月21日)。
(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル、タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。
(注2)発表されている貨物量のTEUと前年同月比の数値は端数処理の関係で一致しない場合がある。
(樫葉さくら)
(米国)
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