7月の米新車販売、前年同月比8.9%増と堅調に推移、大型車両が牽引
(米国)
ニューヨーク発
2025年08月07日
モーターインテリジェンスの発表(8月5日)によるとと、7月の米国新車販売台数は前年同月比8.9%増の140万6,425台だった(添付資料表1参照、注)。
米国の自動車関連サービス企業コックス・オートモーティブのエグゼクティブアナリスト、エリン・キーティング氏は、3~5月の駆け込み需要の反動で6月は伸びが鈍化したものの、「7月は消費者の『不確実性疲れ』がみられ、第2四半期(4~6月)の株式市場の好調に伴う資産効果やペントアップ需要により、販売ペースが再び加速した」と分析している。
車種別では、小型トラックの販売が前年同月比13.2%増の116万7,115台で、市場を引き続き牽引した。一方、乗用車は7.8%減の23万9,310台にとどまった。メーカー別では、日産とテスラを除き、主要各社が前年を上回った(添付資料表2参照)。中でもトヨタの販売増(前年同月比3万6,000台増)が目立ち、ゼネラルモーターズ(GM、2万5,000台増)、フォード(1万6,000台増)と合わせて、上位3社が全体を押し上げた。トヨタは、中型スポーツ用多目的車(SUV)「グランドハイランダー」や、ピックアップトラック「タコマ」といった大型の車両が好調だった。GMは、競争が激しい小型SUV部門でシボレー「エクイノックス」が前年同月比2.6倍と大幅に伸びた。フォードは、7月8日に開始した「ゼロ・ゼロ・ゼロ・サマーセールイベント(頭金ゼロ、48カ月ローンの利息ゼロ、90日間支払額ゼロ)」も販売を後押ししたとみられる。
なお、4月3日から通商拡大法232条に基づく自動車への追加関税が発動されており、各社はコスト上昇の影響額を公表している(2025年5月21日記事、2025年5月7日記事参照)。業界全体では、6月時点で1台当たりの販売価格の上昇率は1.2%の4万8,000ドル台にとどまったが、2026年モデルの投入に伴い、2025年内には5万ドルを超える可能性が指摘されている。コックス・オートモーティブは7月の平均販売価格を8月11日の週に発表する予定だ。
CVシェアは11%と好調
バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)を合わせたクリーンビークル(CV)の販売台数は前年同月比16.4%増の15万4,285台で、全車の11.0%を占めた(添付資料表3参照)。これは前年同月より0.7ポイントの増加で、EV市場の成長鈍化が取り沙汰される中でも好調な伸びといえる。ただし、9月30日に前倒しとなったCV購入に対する税額控除撤廃を前に、駆け込み需要が発生している可能性もあり、今後の動向が注目される(2025年7月15日記事参照)。
(注)ゼネラルモーターズ(GM)など一部販売台数は、月次販売台数を公表していないため、モーターインテリジェンスによる推定値であることに留意。
(大原典子)
(米国)
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