米GMとフォードが2025年1~3月期決算を発表、GMは関税で通期見通しを下方修正

(米国)

ニューヨーク発

2025年05月07日

米国自動車大手のゼネラルモーターズ(GM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますフォード外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますはそれぞれ5月1日、5日に、2025年1~3月期の決算を発表した。GMはトランプ政権が4月と5月に発動した自動車・部品への追加関税によるコスト増を受け、通期業績見通しを下方修正した。フォードは通期見通しの発表を見送った。

GMの1~3月期の売上高は、前年同期比2.3%増の440億ドル、当期純利益は6.6%減の28億ドルだった。車両販売台数は1.9%増と堅調だったものの、労務費や品質保証コストの増加が利益を圧迫したとみられる。同社は株主向けの書簡も発表しており(2025年5月7日記事参照)、メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は、「ご承知のとおり、(政府は)主要な貿易相手国との協議を継続しており、これらも(関税の行方に)影響を与える可能性がある。今後も機敏かつ規律ある対応を続け、新たな情報が入り次第、皆様にお知らせする」と表明した。部品の北米調達比率を高めるとともに、次世代車両の開発、サプライヤーとの長期契約見直しによる調達コストの抑制、レベル3以上の自動運転技術の開発などを進めていく方針だ。

一方、フォードの1~3月期の売上高は前年同期比4.9%減の407億ドル、当期純利益は64.5%減の4億7,300万ドルと減少した。部門別では、主力の内燃車部門「フォードブルー(Ford Blue)」は販売台数の減少と為替の影響により、利払い前・税引き前利益(EBIT)が前年の9億100万ドルから9,600万ドルに急減。電気自動車(EV)部門の「モデル・イー(Model e)」は、販売台数は増加したものの8億4,900万ドルの赤字だった。同社は、関税によるコストは最大25億ドル(注)、2025年通年のEBITへの影響は最大15億ドルに上ると試算したが、より具体的な通年の見通しに関しては、ジム・ファーリーCEOは「競合他社がこれらの関税にどのように反応するかを完全に理解するには時期尚早」として、発表を見送った(ロイター5月5日)。同社がテスラなどEVメーカーに対抗するために立ち上げた、次世代EVの開発プロジェクトであるFNV4(For Fully-networked Vehicle)は中止されることが報じられた(ロイター5月1日)。

(注)フォードは、北米全域で関税が免除される保税輸送業者による車両輸送、米国製自動車部品の調達拡大、そして中国への輸出停止(中国による米国製品への報復関税を回避するため)により、約10億ドルを回収できると見込む(「オブザーバー」紙5月6日)。

(大原典子)

(米国)

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