「大きく美しい1つの法案」、EV税額控除の撤廃など大幅な見直し

(米国)

ニューヨーク発

2025年07月15日

ドナルド・トランプ米大統領は7月4日、「大きく美しい1つの法案(OBBBA)」に署名し、同法は成立した(2025年7月4日記事参照)。自動車産業分野では、次のとおり、2022年8月に成立したインフレ削減法(IRA)で定めたクリーンビークル(CV、注)に対する税額控除の撤廃など、電動化を押し戻す措置が盛り込まれた一方、車種を問わずに自動車ローンの利子控除の導入が盛り込まれるなど(2023年9月27日付地域・分析レポート参照)、大幅な見直しとなった。

  1. 新車(内国歳入法30D)、中古車(25E)、商用車(45W)のCVの購入に対する税額控除(控除額はそれぞれ、1台当たり最大7,500ドル、4,000ドル、4万ドル)の適用期限が2032年12月31日から2025年9月30日に前倒しになった。
  2. 電気自動車(EV)用インフラや水素燃料補給施設の設置費用として認められていた税額控除(30C)の適用期限が2032年12月31日から2025年6月30日に前倒しになった。
  3. EV、燃料電池車(FCV)、大型ハイブリッド(HEV)車や重要鉱物などの生産設備の新設・改修を対象とする先端エネルギープロジェクトに関する税額控除(48C)に関し、控除額の割り当て後2年間を過ぎても事業が開始されない場合、IRA法で規定した他のプロジェクトに配分されるのではなく、控除枠は取り消しとなる。
  4. 自動車ローン利息控除の追加(動力を問わない)

2025年から2028年までの新車ローンについて、最大1万ドルの利子控除が適用されることとなった。対象は米国で組み立てられた車両で、リース車は対象外となる。

このほか、インフレ削減法(IRA)に基づく先端製造業(歳入法45X)に関して、中国を含む禁止外国事業体(Prohibited Foreign Entities)が所有権を持つ、または設置に関与したバッテリー製造への控除を制限するなどの条項も盛り込んでおり、自動車関連産業にも少なからず影響がありそうだ。

(注)購入のバッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)。

(大原典子)

(米国)

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