米税関、強制労働が関与する外国製品の申し立てポータルを開設
(米国)
ニューヨーク発
2025年07月02日
米国税関・国境警備局(CBP)は7月1日、6月に新たに設置した強制労働の関与が疑われる外国製品を申し立てるポータルサイトの利用方法についてウェビナーを開催した(注1)。
米国は、1930年関税法307条に基づいて、強制労働、児童労働、囚人労働などを利用して生産された製品の輸入を禁止している。さらに、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)や敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)に基づいて、中国の新疆ウイグル自治区で生産された製品、UFLPAの事業者リストに掲載された事業者が生産した製品、北朝鮮人が生産に関与した製品などは、強制労働の利用があるとみなして、対象製品の輸入を原則禁止している。これらの法律に基づき、CBPが対象製品の輸入を差し止める。
CBP担当者の説明によれば、これまでEメールや貿易違反報告(TVR)ポータルサイト(注2)を通じて受け付けていた強制労働に関連する申し立てを、新たなポータルサイトに一元化する。また、新たに匿名での申し立てが可能になったほか、アカウントを作成して申し立て後の案件の状況を確認することが可能になった(注3)。
ウェビナーの質疑応答では、参加者からの「製品調達の参考にするため、強制労働の関与の申し立てを受けた外国企業の情報を確認することはできるのか」との質問に対して、CBPの担当者は、「申し立ては機密情報として扱われるため、他者の申し立てを確認することはできない」「(強制労働の関与が疑われる外国企業の情報を確認するには)企業が個別にデューディリジェンスを行う必要がある」と回答した。また、CBPは上記の強制労働の関連情報サイトを通じて、輸入の差し止めなどの執行状況を公開していると述べた。
CBPが公開している強制労働関連措置の執行状況からは、トランプ政権下で違反商品保留命令(WRO)の発令やUFLPAに基づく措置の執行が継続している様子がうかがえる(注4)。
(注1)ウェビナーは今回と同様の内容で、米国東部時間7月8日午前8時、7月22日午後2時にも開催予定。参加登録はCBPの告知を参照。
(注2)ただし、Eメール(forcedlabor@cbp.dhs.gov)やTVRポータルサイト
を通じた通報も引き続き可能だとしている。
(注3)ポータルの操作方法の詳細は、CBPの強制労働の関連情報サイトの「申し立てを提出する際の役立ち情報(Helpful Tips When Submitting Allegations)」に掲載されている動画や資料から得られる。
(注4)トランプ政権の「ビジネスと人権」政策の展望については、2025年5月9日付地域・分析レポートを参照。
(葛西泰介)
(米国)
ビジネス短信 d80b9cd4f321c8f1