エジプトのマドブーリー首相がBRICS首脳会合参加、新開発銀行など財政支援に期待感
(エジプト、ブラジル)
カイロ発
2025年07月14日
エジプトのムスタファ・マドブーリー首相は7月6~7日にブラジルのリオデジャネイロ市で開催された第17回BRICS首脳会合(2025年7月8日記事参照)に参加し、「多国間主義、経済・金融、AI(人工知能)活用の促進」に関するセッションでスピーチを行った。
マドブーリー首相が特に強調したのは、開発途上国の資金調達の困難さだ。開発途上国は債務負担の増大や、インフレ、開発プロジェクトへの対応に必要な資金へのアクセスが十分でないとし、中東での紛争など地政学的な緊張により、資金不足の状況が悪化しているとした。同首相はBRICSが設立した新開発銀行(New Development Bank)の役割の重要さを強調するとともに、BRICS加盟国の中央銀行間の協力を強化し、加盟国間の越境決済イニシアチブに沿った現地通貨での金融決済を可能にする取り組み(2024年9月27日付地域・分析レポート参照)を進める必要があると述べた。
エジプトはロシアによるウクライナ侵攻開始以来、深刻な外貨準備不足に悩まされてきた(2022年4月21日記事参照)。BRICSが推進するドル依存軽減はエジプトにとってもメリットがある。エジプトのアハメド・クーチュク財務相は7月6日、BRICS財務相・中央銀行総裁会議で、特に中所得国の債務危機を解決する上でBRICSの果たす役割は大きいとし、債務スワップや資金調達の面でBRICSへの期待を表明した。
(塩川裕子)
(エジプト、ブラジル)
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