第17回BRICS首脳会合開催、多国間主義の尊重で合意
(ブラジル、中国、インドネシア、ベトナム、インド、ロシア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、エチオピア、南アフリカ共和国)
調査部米州課
2025年07月08日
ブラジルのリオデジャネイロ市で7月6~7日に、第17回BRICS首脳会合が開催された。会合では、「平和と安全保障」「多国間主義の強化」「気候変動対策」「金融」「人工知能(AI)」に関するテーマについて参加国間での議論が行われた。最終日の7日には、多国間主義の尊重などを掲げた「リオデジャネイロ宣言」が採択された。閉幕後の記者会見で議長国ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は、BRICSの世界における重要性を強調し「世界のGDPの約半分をBRICSメンバー国が占めるなか、われわれが世界の経済発展に果たす役割は大きい」と述べた。また、台頭する保護主義に対して民主主義と世界平和の重要性を訴え、「BRICSは主権国家を重んじ、戦争には断固反対する」と述べた(7月7日付ブラジル大統領府)。
BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア、インドネシア、イランの11カ国の加盟国に加え、10カ国のパートナー国により構成される。パートナー国は、加盟国に次ぐ立場にあたる準加盟国に相当する(注)。2025年6月には、ベトナムが10カ国目のパートナー国となり、今回初めて会合に参加した。なお、今回の首脳会合には、中国の習近平国家主席は欠席し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はオンラインで出席した。
米国のドナルド・トランプ大統領は7月6日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」の中で、「BRICSの反米政策に協調する国は、追加で10%の関税を課されることになる」と述べ、BRICS諸国を牽制した(7月8日付「BBC」)。これに対しルーラ大統領は、BRICSが反米であると言うトランプ大統領の主張を一蹴し、そのうえで「世界は皇帝を必要としていない」と述べて、米国が課す追加関税や保護主義的な政策へ反対の意を示した(7月8日付「ロイター」)。
(注)2024年に開催された第16回BRICS首脳会合で採択された「カザン宣言」において、「パートナー国」制度が導入された。パートナー国は、加盟国との経済協力や会議への参加に関する権利を持つ(2024年10月31日記事参照)。
(辻本希世)
(ブラジル、中国、インドネシア、ベトナム、インド、ロシア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、エチオピア、南アフリカ共和国)
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